東方翠漆紫 8
「魔理沙……紫を拘束しなさい。」
ゾッとするような恐ろしい声で魔理沙に一声かける霊夢。その目はまるで残酷に獲物を喰らうような、そんな冷徹な目だった。
「霊夢!!」
魔理沙が正気に戻すように叫ぶも無反応だった。
「紫を拘束しなさい。」
それに反発するように殴ったのは慧音だった。しかし、それを読んでおり軽々と避けていく。
「私は紫の答えを聞いて失望した。なんでそんな下らない事しか人間は考えられないのかの意味が理解出来ないわ!!」
愛情からなのか、未練からなのか、よく知らないが。
「それが人のためになんかならない!!!」
その慧音の拳を掴んで背負い投げを咬ました。
そして霊夢は外に出ていった。
早苗、凌雅、霊夢、三人には同じような状態であると言えた。普段は全く違うのに、どこか同じだった。
「霊夢?」
「りょ、凌雅……私を殺して。」
いきなり現れたのは霊夢だった。しかも殺してとまで言われた。
「バカ」
俺は何を思ったかぶっきらぼうに呟いた。
「あんたにも俺と同じような過去が有ったんだね。目で分かるよ。俺もそんな感じの有ったんだ。」
飛び付いた霊夢の背を優しく撫でる。霊夢の嗚咽も止まらず涙も増す。
「俺はあんたの事、応援してるぜ。」
「……」
「不審なら夢想封印でもすると良い。」
「………」
黙り続ける霊夢を楽しませるために少し………。
「霊夢、雪だるまがそこで見つめてるよ。」
肩をポンと叩いて向かせると季節外れの雪だるまがこちらを見ていた。彼の手から冷気が感じられる。
「俺のなかには特殊能力を持った女の自分が居る。過去に有った何かでそうなった。」
そう言うと光が辺りを照らす。
「けど、私はそれはそれでも良いかなと思ってる。」
すっと伸びた蒼い髪が少し見える。
「そうしてここに来てその事を思った私は遂には『水を操る程度の能力』に手を染めた。」
声色も完全に女声に変わり、足が光から放れる。
「私は霊夢が泣いてるときは笑わせるから、貴女はずっと貴女で居て。」
遂には肩の辺りまで開放されていく。大きな胸が女性に変わってる事を改めて思い知らせた。
「氷の女王、エミ・R・エノヴィッチ…この私が見守るから。それともう一人の私…小宮山凌雅も貴女を支持してるから。」
その手には氷で造られた薔薇が乗っていた。その薔薇をそっと手に取ると綺麗な球になった。
「もっと話す事は有るけど侵入者が居るみたいね。」
目の前には魔狼が数匹。
「聖なる私の地に踏み荒らす者は氷漬けにしてあげる。」
「ふーん。」
いつのまにか霊夢は立ち直っていた。
「その身で代償を払ってもらうとしよう。霊夢…さあやろうか。」
「ええ。女王様!」
そう言ってもう一度、魔狼の方へ向くと既に一体氷漬けにされていた。
「私を見くびる者は胸で窒息させてあげるわ?」
エミは水で出来たレーザーで仕留めていく。
「氷と思ったら霊夢さん!!!」
早苗も現れてくれた。
「私のフィギュアにしてくれようか。」
そうエミが眼に手を翳すと魔狼の足元に陣が大量に浮かび上がり、更に氷が飛び出てきた。
「アイスランド!!」
さらに氷の結界に閉じ込め、凍らせていく。
「愚かな……」
残りの狼は立っているまま事切れた。
「「す、凄い」」
ゆらりと揺れるスカートを押さえてエミは微笑む。
「だから、見くびるなって。」
甘く見ていた霊夢は平謝りしたが女王の胸の間に顔を突っ込まされ、もがいているという衝撃映像を早苗は見ることとなった。
何も知らなかった早苗はエミの説明を受けて驚いた。これが凌雅のもうひとつの顔だということに。
「私が凌雅を見つける事になったのは偶々でね。」
つい先程までの威厳有る『女王』の如く振る舞うエミは消えて、心を思いやる慈悲深い『友達』の様な、気さくなエミに変わっていた。
「それと早苗?まだ私が信じられないかしら?」
「はい。受け入れがたいです。」
仕方がないと言わんばかりの顔を見せたエミは話を始めた。
好きなキャラは誰ですか?6/4
早苗さんとか神奈子様、妖夢に咲夜ですかね。