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東方翠漆紫 7

永琳の薬を受けて回復した二人も言い争いになり、早苗と同じように凌雅が飛び出ていった。

「だって……じゃあ誰が私の代わりに管理すると言うのよ…」

紫の悲痛な声は皆を止めた。

「私も要には只のスキマ妖怪位知ってるわよ!なのに…どうすれば良いって言うのよ……。」

紫にすら判断出来ない状況も有る訳だ。

「ねえ。紫……」

そんな中、声をかけたのは霊夢だった。

「ちょっと昔話…聞いてくれないかな?」




私が11歳の秋。先代巫女(おかあさん)にも少しずつ反抗しはじめる年になった。

お父さんは蒸発で、お母さんは巫女。勿論、博麗の。


事件はそんな秋の日暮れ。


「巫女様。黒い何かに街が教われています!!」

誰だったか知らないけど男がそう告げた。先代巫女(おかあさん)は「はい」と答えて準備をサッとした。


しかし、私は嫌な予感がしていた。

『これで大事な誰かが死ぬ気がする』と。

その一番手に目に映ってしまったのが先代巫女(おかあさん)だった。私は迷うことなく手に手を重ねて「イヤ!」と叫んだ。しかし、先代巫女(おかあさん)は代わらずこう言うのだった。

「だいじょうぶよ。どんな危機も立ち向かって来てる。絶対に貴女(霊夢)を置いていく悪行はしないから。」

抗い続けるも虚しく飛んでいった。


寂しい夜が廻り、日が昇る。しかし、あの姿は見ることはなかった。最初は疲れてるもんだと思っていたが遂に心が不安に侵されていった。



それから三日経っても帰ってこないお母さんに代わるように現れたのは呼びに来たあの男だった。

「まさか死んだなんて言わないよね!!」

悲しみにくれた私は最初から怒鳴り声で物言った。しかしソイツは首を振った。

「そして土下座?!なめるてるの?私のお母さんを見殺しにしたの?聞いてんのか!」

私の我を忘れ、ソイツを暴力沙汰に落とした。何故ならソイツは


お母さんを見殺しにしたから。


救いの手も出さず、突っ立ってる等といった事をしたのだ。私は構うことなく殴り、蹴り、終わりには護身用の短剣で刺し殺した。


その日の夜の夢が怖かった。先代巫女(おかあさん)が出てくるのが怖かった。


「待ってよ!」

しかし背中しか見せない。

「待ってよ!!」

足を止めても振り向かない。

「お母さん!!!」

張り裂ける様に叫んでも振り向いてくれない。

私はお母さんに顔を見せることなく………

「霊夢……」

微かに聞こえる声。

「私の………霊夢…」

そう言った途端、お母さんは巨大な獣に変わり私を襲ってきた。

「お母さん!!!!!!!!」


それから皆、私に寄り付かなかった。魔理沙も無愛想にしか物を言わなくなった。


私は神社で自ら絶とうと一人、魔理沙と出会った場所へ行った。自分の護身用の短剣を一緒に持って。寂しさと悲しみと怒り、苦しみと孤独をも背負って。


そして近くの滝に向かって私は正対し、剣を取り出した。

「私の………霊夢…」

五月蝿(うるさ)い!!」

「置いていったりしないから」

「何がよ!」

脳裏に駆け巡るあの時の言葉が胸を潰していった。やけくそになって私は自分の心臓を狙って…………刺した。




「紫もこのときのお母さんの事と合わせられるでしょう?早苗と凌雅に貴女。先代巫女に私。」

周り気にせず続ける。

「どうだったの?」

紫は黙ったままだった。

「紫…私には紫、あんたと魔理沙しか『居ない』。」

そう言われても紫は俯き続けた。そして紫は泣き始めた。

「物凄く怖かった。次に会うときはどうしようとか、それで死のうと思ったらどうしようとか、もう嫌よ。」

霊夢は厳しい顔のままだった。

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