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東方翠漆紫 4

少し息を切らすも階段を駆けていった俺は神社の風景が見えた。

柱に寄り掛かっているのは恐らく霊夢だが、早苗は……早苗は俺のことを覚えているのだろうか。神奈子も、諏訪子も……。


「あら?慧音は?」

「んなことより早苗は居る?」

「只今お茶の準備中だってよ。」

「りょ、凌雅!」

慧音に心配されたが、そんなことを気にしてられなかった。それより、一分、一秒も早く三年ぶりに早苗に会いたかった。



少年休憩中………( ・∇・)( ・∇・)



「はーいただいま。」

違う。

「ありがとう。」

今の声は神奈子だ。早苗じゃない。

「神奈子さん………」

俺はぎこちなく言った。

「俺、小宮山凌雅なんですけど……早苗は?」

自分の名前を聞いたときの顔といえば凄かった。驚きの他に何か…有った気がする。

「早苗!国賓が来ましたよ!!」

そう捲し立てる様に呼び立てた神奈子に釣られて綺麗な緑色の髪の少女が現れた。

その少女は髪の色は違うが歩いてくるときのフォームから容姿、顔立ちも、髪の色の他は全て合っていた。

「は、はじめまして。東風谷早苗…です。」

緊張しているのか片言になっている。神奈子はそれを笑っていた。

「あんたのお待ちかねだよ」

そう言って肩を軽く叩いた。早苗は「えぇ!?」とすっとんきょうな声を出していた。

「も、もしかして!?」

「小宮山凌雅…だよ。」

俺はやっとして旧友、東風谷早苗に会えた。それだけじゃない。八坂神奈子にも会えた。しかし、洩矢(もりや)諏訪子(すわこ)には顔を会わせなかった。

「凌ちゃん………」「早苗…………」

思わず抱き締めあう。特に俺は嗚咽混じりだった。

もう会えることは無いと思って悲しみ続けた自分が今、まさに抱き締めあっている。


ここに有ったのは数々の驚き…そんなのだ。




「ねぇ凌ちゃん。」

「うん」

「好きな人とか……」

「居るよ……もしこの思いが『好き』ならね。」

「そう…」

どうしても俯かせてしまう。違うのに………。

悲しませるなんて、どうすれば……。




本日は慧音先生のお宅でございます。早苗の用事に付き添わせてもらった。

「慧音。着きましたよ。」

「入って」と言われて戸を開ける。その先には慧音が待っていた。

「おや?凌雅もかい?」

「もう少し掘り下げてこの辺りを解説しようと。特に人里はですね。」

「あの時は急ぎながらで人物説明だったからほとんど触れてないんだ。」

「了解です!」

その時、戸が開く音がして振り返ると永琳が現れた。

「慧音?お品を持ってきたわよ。」

「ありがとう。」

「あれ?早苗に凌雅?」

「いや、ちょっとね。」

早苗は後味悪そうに言う。

「まあ、お気にせずにね?失礼しました。」

去っていった。

「えーと、早苗は。」

そう言いながら慧音は一枚の紙を差し出す。それは『温泉会合』と書かれた宣伝用紙だった。

「どう?」

「お誘いは嬉しいのですが…」

そう言いながら俺をチラッと見てくる。こ、この状況…どうすれば??

「分かりました。」

慧音は何かを悟ったように言って微笑んだ。

「じゃあね。」

早苗は俺の右手を掴んで家を出た。

「熱々ね♪」



「んなことよりさ…」

「何?」

「いや…ごめん。」

何かを言おうとして止めた。何か…怖い。

「全然話変わるけどさ…」

「うん」

「私がもし、慧音や永琳みたいに胸が大きかったらどうする?」

俺は理解不能に陥った。

「羨ましいのよね。」

「何をそんな艶かしい話を……そんな癖有ったか?」

「こっちに来てリミッター外れたみたい。」

けど、それでも早苗が愛らしく思えるはず………。

「そうでなくとも可愛いのにな~。」

その時、文が飛んできた。

「あややや?これはラブラブフォーメーション!?」

「なにそれ…」

あっ、と思って後悔した。

「説明は要らないからな。」

留目に刺した一言で文はムカついたのか飛んでいった。

「とんでもない奴だよね。」

「そうだね……」

早苗はなぜか笑顔だった。


「もう大学でしょ?」

「でも、早苗が居ないと淋しかったな」

「ええ?」

「だってよ……暇、なんだよ。」

楽しかったけど…早苗のことが気になって仕方がなかった。


その事を早苗に打ち明けた。

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