東方翠漆紫 3
一夜が過ぎて、更に時間は進んでお昼頃。
「失礼しますよ。霊夢。」
その人は慧音だった。昨日居たのを見ていて他の人から慧音と呼ばれていることから把握している。
「凌雅…くんでしたね?」
「ストレートに読んでくださいね。」
「霊夢はどこに居るのかしら?」
「はい!ただいま!」
と、霊夢が来る。
「じゃあ、よろしくね。」
顔を合わせただけで話を進めた二人は俺に向き直って
「今週は慧音が勤める寺子屋が休みだから慧音に場所紹介をと企画したのよ。」
いや、それよりも大きいことを考えていると思った俺は不可解だったが大人しく慧音の後を追った。
「結構、遠かったでしょう?ここは紅魔館。」
美鈴が珍しく辺りをキョロキョロしてると慧音が笑っていたが……
「あら?いきなり入るのはお控え戴きたかったのですが…貴方は?」
「俺は小宮山凌雅。」
「凌雅は多分、紫に引き込まれたと思うわ。」
慧音が補足するように言う。
「私は十六夜咲夜。」
メイドのようだ。
それからは慧音と咲夜の二人に説明を受けることになった。
「こちらはパチュリー。」
これまた変わった雰囲気の様子だ。パチュリーも魔法使いらしく、魔理沙も魔法使いということで改めて異世界で有ることを知る。
「レミリア?入るわよ?」
「はいはい。」
「お嬢様……」
と咲夜が戸惑っていたがレミリアと呼ばれた少女は吸血鬼らしい。背中をみたら見事に翼が一対生えていた。
「フラン?お客様よ?」
レミリアが軽く呟くとささっと出てきたこのフランと呼ばれた子はレミリアの妹と知った。
「えーと、次は……」
紅魔館から出て人里に降りる途中だ。
「あら?慧音?」
「幽々子じゃない。」
その印象は何となく掴み所が無さそうと見えた。その後ろにもう一人居るんだけど…。
「こちらは魂魄妖夢。この浮いているのは彼女の半霊だからね。」
白い何かがふわふわと浮いていた。
そんな二人とも離れて次は…
「あやややや?こちらは凌雅さん?」
「あら?」
「清く正しい射命丸文です。」
ペコリと頭を下げた文は早速何かを取り出した。
「取材しようものなら食い殺してあげるわよ?」
「う、うーん。」
あれ?今、食い殺すとか。
「文は新聞社の人で…というよりは天狗で、ここ幻想卿では移動スピードナンバーワン。」
「慧音の声がすると思ったら文屋まで。」
そう現れたのは妹紅。何かと慧音と居るらしい。
「それじゃ、お気をつけて!」
文は飛びさっていった。
「あっ、鈴仙。通してね。」
「慧音と妹紅だね。おや?」
「凌雅に対する説明だから。あれは?」
「永遠亭にいますよ。」
ウサギの耳を持ったブレザー少女は鈴仙と言う。ふむふむ。
「失礼します。」
「慧音と凌雅ね。あら?妹紅も一緒だったのね。私は八意永琳よ。ここで医師として居るようなものよ。」
赤と青の衣服を着ているのが永琳。
「輝夜はもういいか。」
慧音は溜め息を吐いて後にした。
今度は花が咲いている綺麗な道に出た。すると二人居るのが見えて、その人たちも気付いて寄ってきた。
「こっちの傘を持っているのが幽香。上から何本指の強さだから気を付けてね?」
「いや、あなたたち…なんもない。」
「慧音、説明遅いぞ!」
「嘆いてるのが萃香。鬼で四天王の位だそうです。酒を進まれても断るようにね。」
「飲めないのか?」
逃げるように手を引っ張られて慧音と共に夕暮れの森へ突っ切っていった。
「おや?慧音?」
今度も角が有るから鬼かな。
「こちらは勇儀。こちらも四天王いりよ。」
「萃香よりかは頼れるとは自負してるからね。」
呆気に取られつつも階段を上っていった。
「じゃ、最後は守矢神社ね。」
慧音が説明するとき、俺は思わず問い返した。
「守矢って、あの?三人いる?」
「え?」
「早苗とか神奈子とか、諏訪子とか。」
「もしかして知ってるの?」
クラスメートを忘れるわけが無い。あんなに印象深かったあの子を。
気が付くと俺は走っていた。
いつ東方を知りましたか?
A 二月やったかなw