東方翠漆紫 22
「私の連れてきた…子…だからね。」
「飄々としてたあんたにそんなこと言われるとどうすれば良いか失うじゃない。」
「…そうね。」
紫と霊夢が話している間、鈴仙はエミの瞳の色を監視していた。しかし、あの時は新月の日の夜に近付く夕方。鈴仙の中で答が出始めていた。慧音みたいに姿が変わる程度の問題では無いことは。
数日後
「確か、竹林の所だっけな?」
「っていうか、着きました。」
鈴仙の反応に「ああ」と妹紅が返す。
「アリスと咲夜は不在で霊夢と鈴仙、妹紅、エミ、んで私かぁ。」
魔理沙はあまり感心は無いようだ。
そのとき、魔理沙の頬を何かが擦れていった。そのあとは血が出て激痛が伴った。
「ま、魔理沙!?」
「もう、ヤツはいる。」
そう言いながら回復札を使う。
「見切った!」
妹紅が遠くに居た人影に火を放った。しかし、それは砕けちって違うと答えに出た。
「ここですよ?」
それはいつの間にか真後ろにつけられていた。
「やはり緩い。」
その手にあるナイフは既に霊夢の首に当てられていた。
「なら………紫?」
「そうですか。残念ですね。」
少しずらしてスキマでナイフを外す。
「でも、大丈夫ですか?」
その時、光と風が巻き起こり、意識を手放した。
スキマを呼ばれた紫は話を進めていた。
「全く、とんでもないものを招き入れちゃったのね。紫。」
「ええ。」
紫は表情を暗くして答えた。諏訪子は興味無さそうに足をフラフラさせている。
「今、起こりかけている……………………」
「でしようね。」
神奈子は冷めた顔で頷いた。
「早苗……ごめんなさい。」
早苗が居ない時に集まったので、それともうひとつ理由が有って謝った。
「本人は辛いだろうね。」
神奈子の言葉に皆、顔を俯かせた。
「皆さん!」
「「「痛たた…」」」
何が有ったかは分からないが凌雅は元に戻ったようだ。
「けど、良かったぜ」
魔理沙が応える。霊夢は溜め息を吐いた。
「私も焦ったわ。」
エミは辛そうに顔をしかめた。
「それにしても、誰かが暴走する異変が多いわね。渚の件も元々から荒れてる訳でもなかったみたいだしなぁ。」
霊夢は困ったように発言した。
しかし、鈴仙はまたまた見てしまっていた。凌雅の瞳が紅い瞳のことを見てしまった唯一の存在であることを。
(これは……もしかすると。)
「ちょっと?」
呼ばれているのに気が付かなかった鈴仙は慌てて返事した。魔理沙は苦笑い、咲夜は冷めている表情を浮かべた。
「凌雅の能力…エミの能力……ね。」
鈴仙はボソッと呟いた。