東方翠漆紫 16
「呆気ないね。」
魔理沙ががっかりしたように言う。
「アサシン連れるから焦ったけどね。後は市街地か。」
そう言うと渚の中に武具が有るかチェックしてから担いで出た。
「それはそうと探すのも駆けつけるもシビアすぎてヤバかったぜ。」
「暗殺出来る程度の能力…」
早苗はそう呟いた。自分の知らない間に彼のトラップにかかって行動不能に陥っていく黒服の男たちは皆、凌雅によってだ。
「速い………」
紫がスキマを開く前にもう事を終えている。そして平気みたいな顔をしている。
「「化け物…凌雅」」
「油断するなっつらろ?」
向こうの世界の言い回しが出ているが、心配なのは代わりないようだ。
「痛い目、見るんだぞ!!紫。」
その言葉でビクッとする紫。
「あんたが死んだら世界が死ぬもんだ。」
「り、凌雅…」
「早苗!あんたは気が弱すぎ!警戒を逆手に取られる。」
二人して思ったことは『頼りになりすぎて困る』ことだ。
「援軍も来たみたいだな。」
遠くから白黒、紅白の服を来た人達が来た。
「お待たせ。」
その次にはエミが凌雅の元に居た。
「では、氷漬けにでもしてやろうか。俺が許してやるよ。」
「!?」
早苗と紫には訳が分からなかった。二人が何かを詠唱すると近くの男たちが一瞬にして氷に閉ざされたのだった。残りはあと一陣のみ。
「夢想封印!」
そして難なく撃退………
「まだだ!!」
咄嗟に左に顔を傾けて拳を避けて、その手を掴んで背負い投げを放った。すぐにエミと早苗がスペルカードを持って喉に当てる。紫は頭を押さえつけている。完全に拘束している。
「これを…詰み、と言うんだよ。チェスではチェックメイトとね。」
「!?」
まだ隠れていた二人が既にスキマの中でやられていた。
「悪いわね。」
「渚…だったっけ?」
静かに拘束から解放させる。
「渚で合ってるよ。降参。」
「にしても、派手にやったな。」
慧音がボーッとしたように呟く。
「ええ。」
アリスがそれに乗っかる。
「あら、私達は不要だった?」
神奈子と諏訪子も登場した。
「いや、威厳だけ借りた。虎の威を借る狐みたいな。」
「遥々、ご苦労様。」
霊夢は雑に迎えた。その時………ナイフが見えた。
「咲夜?」
居ない。どこにも居ない。
「………居た。」
それは……………