東方翠漆紫 12
「実際になっていた状況を弄っただけよ。」
「あの子はお気の毒なことにな。」(えー!!??)
二手に分かれる反応に目を細めた紫。どうも模擬戦に仕立てたらしい。
「私が早苗のフォローを貰ったのも…」
「いや、伏せてある。」
「知ってたのは?」
「咲夜だけ。」
「一応、参戦していましたよ。貴女の氷に潰されそうになりましたがね。」
本人曰く、ミスディレクションを構えたら氷の津波がやって来て慌てて回避したら今度は妖怪の攻撃を喰らい、丁度挟み撃ち状態になってしまったらしい。そして早苗を送るというファーストミッションは終えたので帰ったとのことだった。
「けっ」
エミは決まり悪そうに部屋を出た。
(エミ?)
「何かしら?」
私は上着を一枚脱いだ。流石に三枚は暑い。
(俺、どうしたら良いかな?)
それは淡白且つ難関な質問だった。
「なら、私を産み出してくれませんか?」
凌雅は黙った。
「私と凌雅を別々の、この世界に一緒に顔をあわせられるように私は願うんだ。今は貴方の存在を置き換えるように私が居るけどさ。」
(そうだね…)
しかし不安が多いようだ。
「大丈夫よ。守矢に行けば力は各々上がるから。」
(なら、行こうか。段取りも向こうにもあるだろうし、ね。)
取り敢えずは守矢神社へ赴く事になった。
「じゃあ、とりあえずおやすみね。って寝るときも姿は私で良いの?」
(お願いします。おやすまね。)
そうして心の会話は終わった。
「早苗…ねぇ。」
何を思ったかそう呟いた。そういや私と早苗は仲が良い。どうも私みたいなイレギュラーした高飛車が好きなのか何なのかは知らない。けど、何故か会話は胸の話になってしまうことがある。
っとと、そんなものじゃない。確かに私も巨乳で有ることは間違いないわよ。街に進めば何故か注目視点が胸だしね。この前、私への侮辱をした魔理沙を窒息させたんだからもはや誇りにするしかないかな。あれ?下品な話になりましたね。
体つきどうこうは離れて、私の力、能力はあまり強くは無いんです。水に耐性が有るだけでグンと落ちるし、そもそも水がなければなにもできない。川の近くとかなら街を海に変えるほどのモノを出来るけどそんなわけないし。だから、世界ごと氷に閉ざせるのは海の上とかなら、ってな話なの。
凌雅は私をどうするんでしょうかね?最悪、暴れまわってから送られたいね。そうしましょうか。最初で最期の凌雅への戦争で終わりましょうか。
簡単な話は私と凌雅、共にはめている護石を外せば別々になるわけだ。それを私は能力のストッパーに、凌雅は私とのコンタクトにしている。
つけた場所は守矢神社だったから…博麗神社でも良いけど、縁の地は守矢神社にしておこうと思う。彼にもその方が良いだろう。そんな物を使わなくても私は凌雅を護るつもりでは居たが、今では逆になるだろう。そう、彼にも私の能力が移り始めていたから。そして私にも貰ってるモノがある。
それは勇気だ。