FILE†ZERO[not title]
――――僕こと、眼観大鷹には、自他共に認める、ある能力が備わっている。
それは、決していいものではなく、事ある毎に僕の行動を阻害し、時には大怪我や、とんでもない事態を引き起こす。
それは何の前触れもなく、突如として
「不幸」に見舞われる事、だ。
………その効果は、今日という日にも遺憾なく、見事に発揮されていた。
「騒ぐんじゃねぇッ!黙らねぇ奴はブッ殺すぞ!!」
男のその叫びに、この場の人間は更にパニックに陥り、皆が皆出口に向かい押し合い圧し合いの惨状が繰り広げられる。
「ッ!テ、テメェラ人の話しを聞きやがれ!」
「うわぁぁぁ逃げろッ」
「トロトロ走ってんじゃねぇよ!退けろっ」
「ちょ、これって何かの訓練でしょ?もしくは、ドッキリ?」
逃げる者、他人を殴り倒しながら逃げる者、呑気に現在を否定する者…彼等のざわめきについに男の堪忍袋の尾は断裂した。
誰もが、半信半疑ながらも偽物か精巧な玩具だと思っていた―――そう、願っていた物を頭上に振り上げ、そして指に力を込める。
パァッン!!
……この場、講堂に乾いたその音は響き渡り、誰もが背筋を震わせながら、立ち止まり、押し黙る。
「いいか、聞きやがれ!!この銃は偽物じゃねぇ。解ったら、とっとと元居た場所に戻れ!この、クソガキども!」
今度は、誰も男の言葉に逆らう者は居なかった。
ただし、今まだ講堂のステージ上で喚いている、男に気圧されたからではなく、あらゆる出入口から、軍服姿で小銃を携えた者達が入ってきたからであった。
全ての人間が元居た位置に戻り椅子に座ったのを見て、男は満足そうに笑い、そして、ここに入って来た時と同じ事を叫んだ。
「いいか、よく聞けよ。黎明館学園本校入学式は……俺達、Imortal Unionがジャックした!」