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『5階にトラック突撃!?ポンコツ女神の使役権と地球通販を得た医学生、辺境の村でワスプ薙刀と現代医療を駆使し最強防衛ライフを始める』  作者: 月神世一


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EP 8

ヒャッハー!世紀末オークの襲来と、医学生の陣形指揮

「うぅぅ……頭が割れるように痛いわ……」

「気持ち悪い……世界樹の加護をもってしても、ルチアナの出した大吟醸の二日酔いには勝てないなんて……」

昨晩のどんちゃん騒ぎの代償は重かった。

村長宅のリビングでは、キャルルとルナ、そして原因を作った張本人のルチアナが、仲良く頭を押さえて床に転がっていた。唯一元気なリーザは、朝から「タダで貰えるものはないか」と村のパトロール(徘徊)に出かけている。

優太が呆れながらウコンの力を差し出そうとした、その時だった。

『カンッ! カンッ! カンッ! カンッ!!』

ポポロ村の中央に設置された見張り台から、けたたましい警鐘が鳴り響いた。

ただ事ではない。優太の顔つきが、医学生のそれから「戦士」のそれに切り替わる。

「敵襲だ! 村の西側、緩衝地帯の森から武装集団が接近中!」

見張りの村人の悲痛な叫び声が響く。

優太は手に入れたばかりの黒鈍色の『ワスプ薙刀』を掴み、外へ飛び出した。

広場にはすでに、ネギオがハリセン(ネギカリバー)を片手に自警団を集めていた。

「状況は!?」

優太が駆け寄ると、ネギオが忌々しそうに舌打ちをした。

「最悪だ。オークの群れだ。数はざっと30。秋の収穫期を狙って、月見大根と太陽芋を根こそぎ奪いに来た野盗どもだな」

村の西側の防護柵の向こうから、地響きのような足音と、品性の欠片もない濁声が聞こえてきた。

「ギャハハハハッ!! 食料だァ! 女だァ!」

「ヒャッハァァァーッ!! 根こそぎ奪えェ!!」

土煙を上げて現れたのは、緑色の巨体を揺らすオークの集団だった。

どういう文化圏で発展したのか、彼らは一様にトゲ付きの巨大な肩パットを装備し、モヒカン頭で、身の丈ほどもある無骨な刃物やチェーンソーのようなノコギリ剣を振り回している。

完全に世紀末の野盗スタイルである。

「うっぷ……村長として、私が、ぶっ飛ばして……」

ふらつく足取りでキャルルがダブルトンファーを構えて出てきたが、顔面は蒼白で、今にもリバースしそうだった。

「キャルルは寝てろ。お前らみたいなチート級が動かなくても、俺と自警団で完封してやる」

優太はキャルルを制止し、ワスプ薙刀をクルリと回して肩に担いだ。

そして、恐怖で足がすくんでいる自警団の若者たち――ボーガンと槍を持った村人たちに向かって、鋭く通る声で指示を飛ばした。

「パニックになるな! 奴らは数に任せて突っ込んでくるだけの烏合の衆だ。ネギオ、村人を第三防衛ラインの細道まで下げろ! キルゾーン(十字砲火の罠)を作る!」

「ほう。貴様が指揮を執るか。面白い、やってみせろ!」

ネギオはニヤリと笑い、自警団を率いて畑の間の狭い通路へと陣形を後退させた。

「野郎どもォ! 柵をぶっ壊せェ!!」

オークたちが肩パットを激突させながら、村の防護柵を容易く粉砕してなだれ込んでくる。

彼らの目に理知はない。ただ真っ直ぐに、獲物(村人)がいる方向へ殺到する。

「今だ! ボーガン部隊、前列の足元を狙って撃て!」

優太の号令と共に、細道の両サイドに伏せていた村人たちが一斉に矢を放った。

「ギギャァッ!?」

頭や胸ではなく「足」を正確に射抜かれた先頭のオークたちが、前のめりに転倒する。

「止まるな! 後続が詰まる! 槍部隊、倒れた奴の隙間を縫って突き出せ! 決して深追いするな、突いたらすぐに引け!」

戦術の基本、チョークポイント(狭所)への誘導と、パニックを利用した足止めだ。

倒れた仲間に躓き、身動きが取れなくなったオークの群れに対し、ネギオに鍛え上げられた自警団の容赦ない槍の刺突が次々と突き刺さる。

「ヒャ、ヒャッハ……痛ェ!? なんだこの村人どもは!?」

ただの農民だと思っていた相手の、軍隊並みの統率と容赦のない戦術機動に、オークたちが明らかに動揺し始めた。

「よし、陣形は完璧だ。ここからは……俺の仕事だ」

優太は深く息を吐き、ワスプ薙刀を正眼に構えた。

混乱するオークの群れの側面へ、一切の無駄がない滑らかな足取りで音もなく忍び寄る。

元SEALs教官直伝のCQBの動きと、薙刀の間合いの制圧。

「オラァッ! チョコマカとォ!」

肩パットのオークが巨大な刃物を大上段から振り下ろす。

しかし、その軌道は優太の目には止まって見えた。

「大振りすぎる」

優太は半身で刃を躱すと、薙刀の柄を滑らせ、遠心力を乗せた漆黒の刃でオークの分厚い装甲(肩パット)の隙間――脇下から首筋にかけての急所を、正確無比に切り裂いた。

「ギベッ……!」

血しぶきが舞う。優太は返しの刃でさらに二体、三体と、間合いに入ったオークの腱と急所を的確に削ぎ落としていく。

一切の魔法を使わない、純粋な物理と戦術による蹂躙。

「ヒャッハー……じゃ、ねぇぞ……! なんだこの強さは……!」

オークの数が半分以下に減り、残党が後ずさりを始めた。

勝敗は決したかに見えた。

――ドンッ!!

その時、後方の地面がひときわ大きく揺れた。

「てめェら……ただの村人相手に、何を手こずってやがる」

現れたのは、他のオークの二倍はあろうかという巨体。

両肩には巨大な鋼鉄のトゲ付きパット、右手には血に染まった巨大な戦斧を握る、オークの頭目だった。

「雑魚の矢など効かんぞォォッ!!」

頭目が咆哮と共に戦斧を振り回すと、突風が巻き起こり、前線で槍を構えていた自警団の若者二人が吹き飛ばされた。

「しまっ……!」

優太が舌打ちをして薙刀を構え直した瞬間、頭目の凶悪な視線が、倒れ込んだ若者たちへと向けられた。

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