表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『5階にトラック突撃!?ポンコツ女神の使役権と地球通販を得た医学生、辺境の村でワスプ薙刀と現代医療を駆使し最強防衛ライフを始める』  作者: 月神世一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/93

EP 2

銀貨で殴る交渉術! 異世界の巨大ファミレス『ルナキン』上陸

「な、ななな……なんですか、この尋常ではない銀貨の山はァァァッ!!」

ポポロ村の村長宅、応接室。

ルナミス帝国からわざわざ馬車で呼び出された巨大飲食チェーン『ルナミスキング(通称・ルナキン)』のエリアマネージャーは、テーブルの上にドサドサと積まれた麻袋の山を見て、目を剥いて絶叫した。

麻袋の口からこぼれ落ちているのは、魔王ラスティアの強権によって回収され、ポポロ村の金庫で埃を被っていた「超・適正価格の銀貨と銅貨」の山である。

「これが『ルナキン・ポポロ村支店』のフランチャイズ加盟金と、建設費の全額よ。足りないならまだあるわ」

魚人族のアイドル・リーザが、ふんぞり返って腕を組んだ。

かつてルナミス帝国の親善大使を務めていた彼女にとって、帝国の商人の扱いなど手慣れたものである。何より、彼女の瞳の奥には「絶対にファミレスでタダ飯を食う」という強欲な炎が燃え盛っていた。

「し、しかしリーザ元特命大使殿! いくら資金があろうと、このポポロ村は三国が睨み合う危険な緩衝地帯! オークの襲撃も日常茶飯事と聞いております! そんな辺境に、我がルナキンの看板店舗を建てるなど、リスクが高すぎて上層部の許可が……!」

「リスクなら問題ない」

冷や汗を流すマネージャーの背後から、優太がスッと立ち塞がり、元特殊部隊(SEALs)教官の冷徹なプレッシャーを放った。

「この村の自警団は、オークの群れを5分で殲滅できる。それに、この村には『魔王軍の絶対的な経済保護(推し活拠点の防衛)』がかかっている。お前らの店舗に傷一つでもつけば、魔王ラスティアが直々にワイズ皇国ごと更地にしてくれる手はずになっているが?」

「ま、魔王軍の加護ォォォッ!?」

マネージャーは泡を吹いて気絶しかけた。

『莫大な初期資金』と『魔王による絶対の安全保障』。

もはや、商人が断る理由は地球の裏側まで探しても見つからなかった。

「……や、やります! やらせていただきます! 直ちに帝国のドワーフ建築部隊と、魔導具技師を手配いたします!!」

札束(銀貨)と権力(魔王)の暴力による、圧倒的ホワイトな誘致交渉が成立した瞬間であった。

   ***

それから数日後。

ポポロ村の広場は、凄まじい活気に包まれていた。

ルナミス帝国から派遣された筋骨隆々のドワーフ建築部隊が、魔法使いのサポートを受けながら、地球の重機もかくやというスピードで木材を組み上げていく。

「おいおい……マジかよ。いくら魔法があるからって、たった数日でファミレスのハコ(外観)が完成するのか……」

優太は、広場に突如として出現した『巨大な平屋建ての建造物』を見上げて呆然と呟いた。

外壁は温かみのあるオレンジ色とクリーム色で塗られ、屋根の上には、どう見ても地球の『ジョイ〇ル』や『ガ〇ト』を彷彿とさせる、デカデカとした看板が掲げられている。

『ルナミスキング 〜魔法と笑顔のファミリーレストラン〜』

「ふふん! どう優太様! これがルナミスの誇る飲食チェーンよ!」

自慢げに胸を張るリーザに連れられ、優太たちは完成したばかりの店内へと足を踏み入れた。

「うおっ……!」

思わず優太の声が漏れる。

広々とした店内には、見慣れた『ボックス席』がずらりと並んでいた。各テーブルには呼び出し用の魔導ベルが置かれている。

「そしてこれが、ルナキンの目玉! 『魔導ドリンクバー』よ!!」

リーザが指差した先には、壁際に設置された巨大な魔導具のサーバーがあった。

氷魔法の魔石でキンキンに冷やされた数種類の『果実水(メロン、オレンジ、ブドウ)』や『世界樹の紅茶』が、木製のレバーを引くだけで無限に出てくる夢のシステムである。

「す、すごぉい……! これなら、地球の居酒屋みたいに、甘くて美味しい飲み物がずーっと飲めるわ!」

「マナの巡りも良さそうねぇ。素晴らしい施設だわ」

キャルルとルナが、目を輝かせて魔導ドリンクバーのサーバーを見つめる。

特にキャルルのウサギ耳は、感動でブルブルと震えていた。

(……待って。地球のファミレスってことは……若い男女が、ボックス席に向かい合って座って、甘い飲み物を飲みながら、何時間も楽しくおしゃべりする……『若者の究極のデートスポット』ってことよね!?)

キャルルの脳内で、極厚の【少女漫画フィルター】が猛烈な勢いで火を噴いた。

彼女はチラリと、隣で「お、このハンバーグ定食、オーク肉の合い挽きか。コスパいいな」とメニュー表を読んでいる『冷徹公爵様(優太)』を見つめた。

(優太と、この素敵なふぁみれすで、向かい合ってデート……♡ ……はっ!?)

キャルルは自分の服装を見下ろして、青ざめた。

いつも着ている、動きやすさ重視の地味な月影流の武闘着ジャージのようなもの

そして、手にはタコができ、オークの返り血を浴びたこともあるトンファー。

(だ、だめよ! こんな血生臭い格好で、優太とデート(ファミレス)になんて行けないわ!! 村長として……ううん、一人の女の子として、最高に可愛い服を着なくちゃ!!)

乙女心に火がついた武闘派ウサギ村長。

これが、次なる波乱(医学生との絶望的なすれ違い)の引き金になるとは、優太はまだ知る由もなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ