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喋る埴輪と除霊師稼業  作者: 豚煮豚


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7 いつのまにか夢の中


まだまだ深夜の三時頃。眠たくなってきちゃった由良は早くこの仕事を終わらせたいと思っていた。お昼にたくさん寝たとはいえ眠たいものは眠たい。


「実は、アレは私がこの家に来る前に大事な人から貰った物だったんです。それで、失くしてしまったことが悲しくて、悲しくて……」


「それで、どうしてイタズラをするようになったんですか?それさえしなければ別に屋根裏なんでいくらでも居てよかったのに」


「見つけてほしいじゃないですか。現に、こうして探してもらうことになったのですからね?」


やっぱり面倒なくらいに賢いタイプだ。

賢い幽霊は交渉とか余裕でしてくるからな。

これって、どうしたらいいんだろ?

もうさ、暴れないようにしてもらうっていうのが一番いいような気がしてきた。その方面でなんとか説得できないだろうか?


「それは俺の方からここの所有者の人に言っておきます。探してもらうようにって言っておきますから、なんとか成仏なり、落ち着くなりしてくれませんかね?」


「そこに確証はないでしょう?本当に探してくれるのかしら?私はまだ二人を完全に信じているわけではありませんよ?」


「……そ、そうですかぁ」


「それに、探すならお昼の方がいいかもしれませんね?こんな夜中に探していては見つかる物も見つからないでしょうから?」


昼も探すのかよ……


この感じだと数日は探さないと許されない。


なんか日本人形らしい、その見た目もめちゃくちゃ怖いし……


「待て。そんなワガママばかりが通ると思うな」


「サキタ?どうしたの急に」


「一言、言わせてくれ。お主のような付喪神程度の霊があまり調子に乗るなよ。もしも、成仏したくないと言うのならば、この家から立ち去ってもらうが?」


どこか恐ろしい声色で水無月さんに話しかけるサキタ。それはどう考えても威圧的で、喧嘩を売っている感じなのは間違いない。


「……それ、いいじゃないの。連れていってくれるの?お二方?」


連れていってくれるとは?

成仏をさせるんじゃないの?

そうじゃなくて連れていくって、俺の家ってこと?

もうすでにサキタさんで限界ぎみなんだけど、そこにもう一人やってくるってことなのか?まぁ、付喪神ならばそうやっても払ったことにはなるんだろうけどさ。


「連れていってやるさ。その代わり、我が家ではお主が一番序列が低くなるが、いいか?」


「いいわよ。でも、朝になるまで真珠の留め具は探してちょうだい?見つかるかもしれないでしょ?」


「わかった。由良が探しておくから、その間は俺と話をすることにしよう。会話によって満足したらそれでいいな?」


「わかったわ。それじゃあ、そうしましょ?」


なんかいろいろ勝手に決まったぁー。

俺の家に怖い人形が来ることが決まったぁー。

しかもそれだけじゃなくて朝まで留め具を探すのも決まったぁー。

みんな俺が居ないと帰れないことわかってるよな?俺がその気になったら二人をここに置いて一人で帰ることもできるんだぞ?


「じゃあ、俺はそれを探せばいいってことですか?」


「そうだ。それで丸く収まる。俺はここで待ってる」


「私も待ってるわ?」


なんか意気投合してそうだ。


なんか勝手に意気投合するのやめてくれないかな。


まぁ、仕方がないからひたすら探してみるか。


さすがに見つかったら成仏してくれるんだもんな?こうなったら気合いで探しまくってそれを見つけるしかない。それさえできればわけのわからんことで悩まなくてもよくなるんだ。


それから、由良は必死に真珠の帯留めを探した。しかし、それは当たり前のように全然見つからない。どうしようもないので何度か諦めそうになったが、気合いで探しまくった。

時間はいつのまにか四時頃になる。もう、わかりやすく眠気の限界が来ていた彼はこんな不衛生な場所で眠ることになってしまったのだ。あまりにも不覚だった。



「あ、あの、よろしいですか?」


「は、はっ!?も、もしかして眠っちゃってましたか?」


「そうですね。寝てました。夜遅くまでお疲れさまです」


帯留めを探していた俺は完全に眠りこけていた。

こんな場所で眠るつもりなんて全くなかったのに。

いやぁ、なんだか面倒なことになった。

なんか、変なところで眠ったせいで体も痛いし、なんか、寝たはずなのに寝たような気になってないし、まぁ、とりあえずは今は所有者の方と話をしようか。


「あ、除霊のことなんですけど、実は、おそらく霊が宿っていた日本人形を見つけたので、それを持ち帰って……と、とりあえず二階に来てください」


「そんなに慌てなくて大丈夫ですよ。二階に行けばいいんですね?」


「すみません。ちょっといくつか話さないといけないことがあるようで。でも、そんなに長くはならないと思うんですけど、大丈夫ですかね?」


「大丈夫ですよ。よろしくお願いします」


というわけで俺は目を擦りながら、所有者と一緒に二階へ向かうことにした。


俺の服にはホコリが着きまくっている。


こんなに汚いと頑張ってるって思われてそうでいいかもしれん。



ブックマークをよろしくねー

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