第八話 鉄砲使い
コンコンコン。
俺は悪魂が乗っているであろう車の窓をノックする。
「すみません。」
男性が一人乗っている。後部座席には猟銃が置いてある。
車の窓が開く。
「どうしまし」
「バコーンッ!」
俺は不意打ちのパンチを打った。車の中で鈍い音が響く。
最大まで力を入れたパンチが顔面に深く入る。
無論、悪魂の顔から流血する。
「いきなりパンチは…いかついねぇ。」
悪魂が顔に付いた血を服で拭う。
(俺のパンチ喰らっといてしゃべれるのは大したもんだな。)
そんなことを思っているといきなり悪魂の手から銃口の長い銃が出てくる。
そして、窓から俺に銃口を向ける。
「お釣りあげるよ。」
悪魂はそう言って引き金を引く。俺はしゃがんで銃弾を避けた。
「カイトシールド!ロングソード!」
俺は両手を挙げて二つの武器を手に入れる。
そして、立ち上がり攻撃を仕掛けようとする。
しかしその時、
「パチンッ!」
悪魂が指を鳴らす、と同時に…俺の服のお腹辺りが真っ赤に染まる。
「ングッ!?」
俺のお腹に鉛玉が貫通したのだ。
俺は激しく吐血する。
(何だと?!銃を撃った様子は全くなかった…)
「俺の魂技は銃弾を自由に操作できる。完全に油断してたな。」
そう言いながら悪魂は車のドアを開ける。
「先に言っとく、俺の魂は滝川一益だ。」
滝川一益。大名。退くも進むも滝川
「お前の魂はなんだ。」
俺は血を吐きながら答える。
「俺は弁慶だ。魂技は筋肉操作と武器の生成だ。」
「はぁん。だからお前そんなに筋肉えぐいのか。」
そう言うと一益は俺から静かにバックステップで距離をあける。
相手が戦闘態勢に入る。
(出血が酷い。早く決着をつけないと俺も危ないな。)
先に仕掛けたのは俺。
全身にできるだけの力を入れて、盾を構える。そして、地面を蹴る。
一益は俺に向かって二発撃つ。しかし、鉛玉は盾に当たらず空に向かって飛んでいく。
多分一益はどこから鉛玉が来るか分からないようにする作戦だろう。しかし、そんなことは関係ない。
さっきまで存在していた空間がすでにゼロになっている。
俺はソードを振りかぶる。
「これは痛いだろ。」
一益はバッグステップで反応する。しかし、それはコンマ一秒遅れた。一益の腹を皮一枚掠める。
「今の避けちゃうかぁ!でも次はどうかな?!」
俺は強く一歩前に出て、ソードをギュッと握る。
俺は両手を思い切り引く。そして思い切り、、、突く!
俺の突きは着地寸前の一益の心臓を貫く。
「うっ」
一益は静かに膝をつく。俺はソードを抜く。すると、一益は静かに倒れた。
「さい…ご…に…。」
一益は指を弱く弾く。
「まずい!?」
俺はシールドで頭を守りながら左にステップをきる。
「カンッ」
シールドが鉛玉を防ぐ。
本格的にこの戦いは終了した。俺たちの勝ちだ。
しかし、俺はなんとなくこいつを死なせちゃいけない気がした。こいつに罪はない。悪魂はすでに消滅している。ただ、この程度の傷だと本人への肉体のダメージも半端じゃない。俺はこいつを担いで病院に向かおうとした。
その時、一気に視界が明るくなる。
(なんだ!?)
「ドカァンッ!」
辺りに響く轟音と灼熱の風。俺は爆発に巻き込まれたのだ。
全身に電気が走るような痛みと皮膚が裂けるような熱さ。
(やばい…死…ぬ…。)
俺は意識が飛びそうになる。
しかしその時、向こうから人影が見えた。
「はぁ…すぐ死ぬやん。まぁいいかどうせ捨てゴマだし。」
言ってることからすぐに分かった。
新たな敵だと。
第八話はいかがだったでしょうか。
第九話では、新たな敵との戦闘が始まります。ボロボロな秀吉の命運は…
ぜひ第九話も見ていってください。