第六話 京都幕府
4月25日
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「おい、起きろ。おい、起きろ…起きろっ!」
「バチーンっ!」
「いってっぇぇ!」
眠っていた俺のほっぺたがいきなり熱くなった。
「いってぇよ、誰だよ!」
「俺だよ。俺、おれおれ。」
「お前かよ!いい加減ビンタして起こすのやめろや!」
俺は布団を投げるように起き上がり、大声をあげる。
「いい加減っていっても…まだこれ二回目だぞ。」
「じゃあ普通にやめろ。いてぇから。」
俺は真っ赤に腫れたほっぺをさすりながら言った。
外の気温は12℃。雲一つなく美しい青空が広がる。鳥の声が聞こえる。朝が始まる。
俺は床を撫でるように眼鏡を探す。
弁慶は緑色のカーペットの上に胡座をかいて、腕を組み偉そうに座っている。
「弁慶、今日はどこに行くんだ?」
弁慶が答える。
「そうだな…まずは幕府を目指さないといけない。」
「ばくふ…幕府ってあの幕府かよ?!」
俺が飛びいるように聞く。
「あぁ。多分その幕府だ。」
「どういうことだよ?それはつまりどこに行くんだ?」
「この紙を見てくれ。」
そういって弁慶は一枚の紙を俺に渡す。どうやらこれが弁慶のいう幕府の地図のようだ。
「きょうと…ばくふ?」
「そこに行くぞ。」
「はぁ!?京都幕府ってことは京都か?!」
「そうだ。京都市に行くぞ。」
訳が分からない。聞きたいことが多すぎる。俺は少しの間固まる。少し頭の中を整理したかった。
頭の中ぎ整理されたら俺は弁慶に質問をする。
「何で行くんだ?そんな所。」
「…」
「おい、どうして黙るんだよ。何で行くんだよ?」
「殺されんだよ。行かないと。」
「…。こ、ころされる?」
弁慶は確かに殺されると言った。殺されると。
俺は戸惑いを隠せずにいた。
「ごめんな。どうしても本体が欲しくて黙っていたんだ。本当に申し訳ない。」
弁慶が座ったまま下を向いて顔を隠す。
「で、でもよ。行けばいいんだろ…行けば!?」
「いや…15日以内に行かなければ行けない。15日を過ぎたら……殺される。」
さすがに俺の心はばくばくだった。正直怖かった。死ぬかもしれないと考えると。
しかし、俺は弁慶にこんな言葉をかけた。
「そうかぁ…まぁでも…なんとかなるっしょ!もう15日過ぎたら殺されるっていう事実は変わらないんだし急いで行くしかないだろ!下向いてる暇あるならすぐに行くぞ。ほら立て。」
俺はそういって弁慶に手を差し出した。
2
「持ち物は持ったか?」
「あぁ。バッチリだ!」
俺と弁慶はキャリーケースを転がして家を出た。
「じゃあ出発するぞ!」
俺と弁慶は歩み始める。
外は快晴で灼熱の太陽が俺たちを照らす。
冒険の初日にしては最高の天気かな。
第六話はいかがだったでしょうか。
第六話では、衝撃の事実を知りました。幕府に行かないと殺される。。。
秀吉と弁慶の冒険がようやく始まりました。どんなドラマが待っているのでしょうか…
ぜひ第七話も見てください。