第四話 偉人
2024年 4月24日
「う、嘘だろ…」
俺は体が固まった。
「悪いな。その攻撃じゃぁ俺に攻撃は通らないぞ。」
弁慶は辺りを見回す。
(どうしたら攻撃が通る…)
その言葉だけが頭の中で繰り返される。
そして弁慶が俺の心情を悟ったのかこう言った。
「おい秀吉、心配するな。超防御といっても魂技をずっと使っていると使えなくなる。そうなったらあいつもただの魂だ。あと、秀吉。逃げることも少し頭にいれておけ。」
「そんな話してる暇あんのかよっ!」
悪魂は短剣を持って俺に向かって走る。
短剣を振りかぶる。
「振りがでけぇんだよ!」
俺は横に避ける。
そして弁慶が叫ぶ。
「ロングナイフっ!秀吉これ使え。」
そういいながら弁慶は二本のロングナイフを俺に投げる。
そして俺はロングナイフ、弁慶は薙刀で悪魂を挟むように応戦する。
二対一の状況。
悪魂は短剣で攻撃を受けるが攻撃は当たる。
しかし刃が入り込む様子もなく、痛がる様子もない。
「くそっ。」
俺は一瞬、力を抜く。
その時、
「グサッ。」
不快な音が辺りに響く。
俺はお腹に強い痛みを感じた。
そして、そのまま地面に膝をつく。
「おい、なにしてんだよっ!?」
弁慶はそういいながら薙刀を思い切り悪魂に突く。
続いて弁慶は足に力を込めて悪魂を力強く蹴る。
悪魂は廃ビルの壁に突っ込んだ。壁が割れる。
「秀吉、大丈夫か?!」
弁慶が必死な顔で俺に近づく。
「うぐっ。だい、じょう…ぅ」
俺は静かに目を閉じた。
「秀吉っ!秀吉っ!くそっ逃げるしかないな。」
そこからは速かった。
弁慶は背中に力を込めて、秀吉をお姫様抱っこする。
無論、悪魂は俺たちを追いかける。
「逃げれると思ってんのか。」
後ろからトタトタと足音が迫る。
弁慶はより背中に力を入れ地面を蹴る。
しかし、力を込めている弁慶はその分重くなり、走る速度も遅くなる。
悪魂は弁慶に追いつく。そのまま、弁慶を後ろから短剣で攻撃する。
「おらっ!」
弁慶は黙って走り続ける。
「くそっ、くらわねぇのかよ。」
悪魂は更にスピードを上げて弁慶の正面にくる。
「背中は固いけどお腹はどうかなぁ!」
悪魂は短剣をガシッと構える。そして、振りかぶる。秀吉ごと真っ二つにする気だ。
(これはまずいっ!)
弁慶は秀吉をすぐさま投げる。
そして、お腹に目一杯力を入れる。
しかし、それは無情にも間に合わない。
「死ねぇ!」
「グサッ」
「ポタッ…ポタッ…」
弁慶のお腹から血が垂れる。
「ドスンッ」
弁慶は仰向けのまま大の字で床に倒れる。
悪魂は短剣の先を弁慶の喉まで運ぶ。
「さすがにこんなんじゃ死なないかぁ。じゃあトドメと行こうか。」
弁慶は死を悟って目を閉じた。
悪魂は両手で短剣を持ち上にあげる。
「死ねぇ!」
「三日月宗近。居合いっ!」
「シャキーン」
「グサッ」
鈍い音が鳴る。
しかし、弁慶は痛みを感じないり
「おい、弁慶っ。弁慶っ!」
弁慶はその声を聞いてゆっくり目を開ける。
「しゅ…秀吉。秀吉!」
弁慶はビックリして体勢を起こす。
そこにはピンピンした秀吉と見たことのない二人の人が立っていた。
「誰だ?!」
弁慶はすぐに立ち上がり、戦闘の構えをする。
「弁慶っ!落ち着いて大丈夫だ。この人たちが俺たちを助けてくれたんだ。」
そういうと二人の人が話し始めた。
「僕は足利義輝。魂技は無限に刀を生み出せるよ。」
足利義輝。偉人クラス。「剣豪将軍」。
「私はナイチンゲールです。魂技は病気や怪我、物体の再生です。よろしくお願いします。」
ナイチンゲール。偉人クラス。「白衣の天使」。
「た、助けてくれた?」
俺は答える。
「そうだ。俺と弁慶の傷がなくなってるのはナイチンゲールのお陰。悪魂が消えているのは義輝のお陰。」
弁慶はもう一度二人を見る。
「ありがとうございます。」
第四話では、新しいキャラクターが登場しました。弁慶と秀吉が苦戦した悪魂を一瞬で退ける二人の正体はいかに!
ぜひ第五話も見ていってください。