ボディランゲージ
授業が終わって俺は次の授業の予習をしていた。日頃バイトで忙しく、勉強をする時間が割けないので少しでも授業内容を頭に入れるため欠かせない。
「でさ~、私、美佳とカラオケ行ったの~」
近くでは大河内早苗の席で世間話が始まっていた。
「そしたら美佳さ~、三回連続で入れてて~」
会話をしている内村杏子の尻が近い。尻の熱気がこちらまで感じられる。意識してはダメだ。
「しかも同じ曲入れてんの~」
いよいよ尻が俺の肘に当たってきた。
いや、気づくだろ。というか気づいて、お願い!
少し体をずらす。その肘にさらに尻が追いかけてくる。
内村さん、尻が当たっているんですけど→わざと当てているんです→なんで→だって意識して欲しいから。
うぉーーぃ!!
どう転んでも困るヤツ!!
尻の割れ目を肘で感じながら、俺は咳ばらいをした。
「あっ、ごめんなさい美作君!」
「いや、大丈夫」
普通の男子高校生にとってはボーナスタイムみたいなものだろう。だが意識してはいけない。好意の対義語は無関心。仏の心になるのだ俺。
何度となく肘に尻の割れ目を感じながら、次の授業の担任が入ってきた。
「もう先生来ちゃった、またね早苗」
尻の温もりが遠ざかっていく。
結局、予習が頭に入らなかった……。
俺にだって煩悩はあるのだよ。
今日は日直だった。
授業が終わり、黒板消しで黒板を拭く。
その時、陽キャの女子筆頭である滝川加奈が黒板にチョークを走らせ、仲間に説明をしていた。
「……んで、ここで華が話しかけてくんの!」
ノートでやってくれないかな……。
半分ぐらいまで拭き終わって、俺は声をかける。
「滝川さん、あと拭いておいてくれる?」
滝川さんは身を乗り出して、俺の右手を掴む。
「うん、あーし、あとやっといてあげるから!」
滝川さんは俺の右手を離さない。
「う、うん。俺、後やることあるから」
「ゴメンね! あーし、気が付かなくて!」
お願い、右手離して。
「美作っちの手、ゴツゴツしている……」
俺の手の品評会始めた。
「ああ、俺バイトしているから、多分そこで鍛えられたのかも」
「バイトしているの? どこどこ、教えてよ! あーし、遊びに行くから!」
「俺、キッチンなんだ」
「ふぁーーっ!! 美作っちの作った御飯食べたいし!」
ふぁーーっ、って!
「ファミレスだから、味は同じだよ」
「どこどこ? どこのファミレス? あーしもバイトしようか悩んでるみたいな。教えて欲しいんだけど!」
うわ、知られたくない。俺が唯一くつろげる空間、バイトまで干渉されてきたら……。
「おーい、黒板まだか?」
丁度、次の授業の教師が入ってきた。
「先生早いし!」
滝川が非難の声を出す。
「そうか? いいから席に着け」
助かった。どこから情報が洩れるか分からない。迂闊な事はしゃべらないでおこうと肝に銘じた。
すいません、むしゃくしゃして書きました(-_-;)。




