表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/148

8.俺理論にようやく世界が答えてくれた!

 ドゴーン! ドゴォォン!

 海原に高層ビルの様な水柱が立ち上がる。


「ワハハハ、やっぱり俺は天才かもしれない!」


『主の頭は少年時代に戻ったのかもしれないニャ』


 どこか呆れた風につぶやくトラ。

 トラは今、俺の首に巻きついている。そう、猫マフラー状態だ!


 昔、同じことをしたら猫パンチを目にされて大変なことになった。

 爪がかすっていたらしく白目から膿が出てきたのだ。お医者さんにそのことを正直に話したら、めっちゃ怒られた。黒目だったら失明していたと……二度と猫は首に巻くなと怒られた。


 しかし、今は話が通じる猫!

 二度と昔のようなことはしないように注意しておいた。大事なことだから何回も確認した!

 ちなみにトラは実際には言葉を発してないらしい、なんかテレパシー的な……魔法的なやつで会話しているらしい。だから他人には「ニャー」としか聞こえないらしい。

 はたから見たら「ニャーニャー」鳴く猫にしかみえないらしい。あまり会話するとご近所さんから苦情がきそうだ。

 その時は、そういう生き物だって言い張ろう! 猫は存在しないらしいし。もう、らしいばっかりでどれが正解かわからない。おいおい確認が必要だな。


 それはそうと、俺の後世に残るような大発見を聞いて欲しい!


 めちゃくちゃ高く上がる水柱。

 実は身体強化で思いっきり水を踏みつけているのだ!


 昔から体験して知ってはいた、プールに飛び込むとき面積がでかいとめちゃくちゃ痛いってことを……お腹なんて真っ赤になって、息もできなくなるくらい痛いのだ。

 お風呂でも手のひらで水を叩けば水は固くなる! よくお風呂で百裂拳とかやったものだ。衝撃を加えると水が固くなるのは間違いないのだ!

 問題は衝撃、あっちの世界では衝撃に身体が耐えられない。しかし、衝撃の問題さえ解決すれば固い水が存在するのは間違いない。

 ということはだ! 固くなった水が緩くなる前に飛び上がれば、沈むことは無いのだ! 力こそが正義! パワァァァァァ!


「ようやく俺の理論に世界が答えてくれた! このまま大陸まで突き進むぞ!」


『主がお風呂場でバンバンやってた意味がようやく理解できたニャ』


 お風呂に入ると、いつもついてきていたのは俺の実験を見学していたのか? いつも洗い場の水を飲んでいたから、出汁が効いたお湯が好きなんだとずっと思っていたぞ。




 ドラッシェン様にどこの釣り場が良いか尋ねたら、現在地の南にある大陸が良いとアドバイスを貰った。


 3日間、ドラッシェン様が住む大陸を探索したが、見事なほど何もなかった。景色はいいけど生物がいない。たまに鳥は見かけるが本当に稀だった。


 どうやら湖の水はドラッシェン様の魔力が豊富に含まれていて、知能の高かったり、強い魔物は近寄ってこないらしい。

 湖から流れでた川は、最終的には南の大陸に流れていく。だから、魔物も弱く、釣りを楽しめるのではないかということだった。そもそも、この世界で漁はするが、釣りのようなチマチマしたことはしないらしい。


 シーサーペントはドラッシェン様のご飯だった。海から獲ってきて湖で飼っているらしい。毎回獲りに行くのはめんどくさいから、ある程度の数を獲って養殖しているらしい。

 シーサーペントは淡水でも飼育可能なのか……そもそも魚じゃなさそうだし問題ないのか……


 ドラッシェン様との会話を思い出していたら、大陸が見えてきた。

 ここまで3時間位か? 体感だけど……身体強化でめっちゃ高く飛んで、一回ですごい距離を稼いでいたから距離がよくわからないな。


 ドォーン! ドォーーン! と突き進んでいると船や家が見えてきた。港町なのかな? そして海沿いには何やら豆粒がいっぱい集まっている。


「なんか、いっぱいいない?」


『この音と水柱にビックリして、人だかりができてるんじゃないかニャ?』


 え、それヤバいやつじゃん。

 このまま行ったらヤバいやつ認定間違いなしなやつじゃん。よし、方向転換だ!


 慌てて方向を変えた俺は、港町からずいぶん離れた近海へ着水した。

 着水は高飛び込み選手の様に、できるだけ水しぶきを上げないように、つま先から着水を心がけた。さすがに怖いから頭からは辞めた、岩とかあったら普通に死ぬ。




「あぁ~、結局濡れちゃったよ」


『頭から飛び込むんじゃないかと思って、命の危険を感じたニャ!』


 危険を感じたのは俺だけではなかったらしい……


 無事海岸へ泳ぎ着いたので、服をクラフトしなおし乾燥させる。ちなみにこれを乾燥と言っていいか俺はわからない。


 髪は乾かせないけど、天気はいい、そのうち乾くだろう。


 さっそく釣りをしたいのだが、まずは生活拠点を確保しなければならない。魔物がいる世界、まちがいなく暗くなってから街に入ることは困難になるだろう。それに宿を取れるかもあやしい、とにかく野宿は嫌だ。


 俺は怪しまれない程度に小走りで街に向かうのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ