7.楽しく生きようそうしよう
一通りマジックバックの中を確認してみたけど、生活用品がほとんどで武具が見当たらない。
「武具が見当たらないけど、じいちゃんは戦闘はどうしてたの? この世界にはシーサーペントみたいなヤバい奴がいるんでしょ?」
『トシオは戦闘がまるでダメだったニャ。だからオイラがトシオの護衛として頑張ったニャ』
じいちゃんだからなー。のほほんとしてたからトラが頑張ったんだろう。
「じゃあ、俺もトラに守ってもらおうかな」
『主は、シーサペントを爆発させるくらい力があるニャ。あれよりも強い魔物なんて、なかなかいないから大丈夫ニャ』
あれはやっぱり強い部類の魔物なのかー。身体強化は練習しないとな、毎回あれじゃあ歩く災害になってしまう。
「ドラッシェン様、本当に好きなことやって生活していいんですか?」
「問題ない、ただしアタルは不老だからな。いつまでも同じ地にいては目立つだろう。人間の寿命は短い」
あぁ~、寿命的なことがあったな。
『オイラも寿命はないようなものだから大丈夫ニャ』
トラは20年くらい生きたからな。ネコマタにでもなったんだろう……
じいちゃんの護衛ができてたんだし、こいつは放っておいても大丈夫だろう。
「トラ、一緒に来てくれるんだろう?」
『もちろんニャ!』
「でも、その大きさは目立つんじゃないか? 普通の人は怖がるだろう?」
『そうかもしれないニャ』といい、徐々に小さくなるトラ。そして、地球時代の猫と同じサイズになった、猫のサイズになれるなら最初からそれで来いよ! 洞窟で怖い思いする必要なかっただろ!
トラの問題は片付いた。虎をつれて街中になんて、絶対入れてもらえないだろう。
この世界には猫はいないらしいけど、猫なら警戒はされないだろう……かわいいしな!
俺は平和に暮らしたいんだ。
妻と息子に会えなくなったのは寂しいが仕方がない。じいちゃんが俺の為に体を使ってまで用意してくれたんだ、楽しく生きよう。こっちにはトラもいるし……
よし、気持ちを切り替えよう!
なんだかこっちの世界に来てから気分が前向きになった気がするな。トラにも会えたし、じいちゃんの話が聞けたからだろうか?
好きなことをして生きていいってことは、まずは釣りだな。そもそも、釣りをするつもりで早起きしてまで出かけたのだ。そして、なぜか釣り具はこっちの世界にきている、きっと使えるだろう。
あ、あとは自分の容姿か……鏡が無いしどうしたものか?
「トラ、俺は地球の時と顔とか変わってるか?」
『……おじさんになったニャ。あと、お腹が出てる』
変わってないっぽいな。
なんかちょっと心にキズを負ったが、トラとじいちゃんが居なくなってからいろいろあったからな。苦労した分、老けたんだろう。39歳の身体で転移……いや、転生なのか?
先が思いやられるなぁ。