表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/157

5.グルグル廻してギュッとしてドン!

「こいつはシーサーペントじゃなくて、血ーサーペントだったんだ……」


『血だらけにしたのは主にゃ!』


 つぶやく俺に、突っ込む猫。いや、虎みたいにでかいけどね。

 ひとまずこれをどうにかしないといけない。このままだと新たな事件が発生してしまう!


「ドラッシェン様、この血ーサーペントを湖に入れて血抜きは可能ですか? もしかして、この血に誘われてさらにまも……いや、お土産が増えちゃったりしたりする感じですか?」


『めっちゃ動揺してるニャ!』


 うるさい、ちょっと黙ってなさい。あなたの主は今、大事な情報を聞き出しているんです!


「いや、大丈夫だ。我がいる限り魔物は寄ってこない」


 おぉ、さすがドラッシェン様だ。これで事件は続かない! 安心、安全!


「それでは、この血ーサーペントを湖に移動してもらえますか? 私の力ではちょっと難しそうです」


 服も汚れそうだしね……着替えないし。


「身体強化を使えばよいだろう。我の魔力で作られたアタルには魔力がある。魔法スキルはないが無属性魔法の身体強化なら可能だろう」


 魔法か、たしかに使えたら便利そうだけど使い方がわかんないんだよな。


「えっと、魔法の使い方を教えてもらえますか?」


「グルグル廻して、ギュッとしてドン! だ」


 全然わかんねー!

 ドラッシェン様、教えるのめっちゃ下手。これ天才にあるあれだ、感覚でできるから言語化できないやつ。しょうがない、こういう時は猫の手を借りよう。


「トラ、身体強化教えて」


『魔力をグルグル廻すと膨張するニャ、それをギュッとすると身体強化できるニャ、あとはドンニャ』


 猫の手もダメだ。さっぱりわからん。

 なんでスキルは考えただけでできるのに、身体強化というか魔法はこんなにややこしいのか?

 もしやスキル持っていると簡単になるのか?

 無属性魔法のスキルが欲しい……あぁ、スキルか、スキルならいいのね?


 グルグル廻してギュッとした魔力をクラフトし、身体に付与。


「フフフ、俺は天才かもしれない。出来た気がする……」


『あ~、あれは失敗ニャ』とトラがつぶやいているが嫉妬かな?

 俺は猫の手を借りないで身体魔法を手に入れた! しかもスキルでな!


「よーし、あとはこの危ないからさらに格下げされ、血の気の抜けた魚を湖に放り投げれ……」


 気合を入れてシーサーペントのを掴んだとたん爆発するシーサーペント。


『身体強化しすぎニャ~』


 気が付いてたなら教えてくれよ!


「さすが我の魔力で産まれただけあるな」


 そんなに満足そうな顔をしないでください!


 じいちゃん、事件です。血ーサーペントが爆発してベトベトです。この世界に来て早々、着替えがなくなりました。




「皆様のアドバイスのおかげで、シーサーペントは私の力でも運べるサイズになりました。ありがとうございます」


 爆発し、バラバラになった肉片を集めながら身体強化魔法のお礼をする。習得できてないけどな!


『アドバイスを無視した結果がこれニャ!』


 くそ! あきらかにディスってる!

 身体強化は練習していくとして、まずは着替えが必要だ。こんなベトベトな服を着ながら調理なんて嫌だし、食事するのも嫌だ。


「トラ、ちなみに服をきれいにする魔法なんてある?」


 異世界ものなら生活魔法とかあるだろ? 俺、知ってるんだぜ?


「服をきれいにする魔法? 知らないニャ」


 無かった……仕方ない、湖で洗うか。


「ドラッシェン様、身体が汚れてしまったので先に湖できれいにしたいと思います。ついでに服も洗いますね」


「うむ、だが服ならクラフトで作り直せばよかろう?」


 あー、なるほどねー。服は作り直せばいいのね?

 血がついてない服のイメージできるかな?

 ちょっと自信ないなー。

 ひとまず服を脱ぎ、湖に入る。


「うへー、めっちゃ冷たい!」


 全身を洗い、血を洗い流す。っていうか、お二人さんこっちを見ないでもらえますかね? 全然落ち着かないんですけど。


 トラなんて『しばらく見ない間にお腹が出てるニャ』なんて言ってるし、中年になるとお腹は出るもんなんだよ! あと、向精神薬の副作用、あれもなかなか馬鹿にできない。

 それと股ズレが痛いんですけど! ばい菌入ったりしないよね? 大丈夫?


 ひとまず身体のベタベタは取れたので湖から上がったが、タオルが無い。

 はぁ……とため息をつき、シャツをクラフトし、新しく作り直す。ちなみに、きれいなシャツが出来上がった。やればできるもんだな!


 それで身体を拭き、濡れたシャツをクラフトで新品シャツにまた作り直した。なんか、スキルの無駄遣いしてる気がするけど仕方ない。これしか思いつかなかった。

 その他、汚れた衣類もクラフトし元通りだ。これで調理に取り掛かかれる。



「ちょっと生はあれなんで、焼きたいんですけど火は……」


「それは魔法がある。トシオはクラフトで道具を作り出していたようだが、あとで探してみればよい」


 と言い、拳大の炎をドラッシェン出してくれた。

 トラは出せないのかなとチラッと見てみると『火魔法は専門外ニャ』と言っていた。

 じゃあなにが専門なんだ?


「魔法だから薪いらないんですねー。ではさっそく焼きます。皆さんも食べますか?」


「土産だ、好きなだけ食べればよい」


 ドラッシェン様は食べなくて良さそうだ。


『残ったら頂くニャ。あ、オイラは猫じゃないから調理した料理を食べるニャ!』


 急に猫じゃないアピールしだしたぞ? まぁいいけど……


「わかった、熱々をご馳走してやる」


「熱いのは苦手ニャ」


 猫舌か……やっぱり猫のままじゃねーか!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ