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3.ハワイアンってカテゴリあるの?

 俺は今、洞窟を歩いている。


 そろそろ疲れてきたんだけど……いつまで続くのこれ?

 股が擦れて痛い。これ絶対ケガしてる。歩いてるだけでケガをしたようだ、ずっと引き籠ってたからな。太ってジーンズが合わなくなっていたのか、単純に運動不足なのかわからん。


「トラ、疲れた。背中に乗せて」


『主、知らないのかニャ? 猫には乗れないんだぜ!』


「お前さっき、今は猫じゃないって言っただろ! あと、ドヤるな!」


『……主は重そうだから嫌ニャ』


「せめてタックルボックスだけでも!」


『仕方にゃいな~』といいながら、タックルボックスを咥えて歩き出すトラ。


 なんか急にペースが上がってない?


『軽くなったんだから、もうちょっと早く歩くニャ~』


 タックルボックスを咥えた猫を追いかけて、慌てて駆けて行く俺なのであった……




「ようやく明りが見えてきたー! 絶対股ずれ起こしてる! トラは回復魔法は使えないのか? 痛いんだけど!」


『確認してからニャ。使えるけど、使ったら主がいなくなるかもしれないニャ』


「何それ! 怖い!」


『あ、それとこれから会う人には丁寧に接するニャ。その、ジギングロッド? とか突き出しちゃだめニャ』


「わかった、ちゃんと接するよ。お前が大型肉食獣だったから警戒しただけだし」


『安心したニャ』


 ようやく、ようやく地上に出れた。

 洞窟の出口は階段になってて、地面に穴が開いているような場所から出た。

 てっきり山をくりぬいた洞窟だと思っていたのに、地下をずっと歩いてきていたようだ。


「おぉ~、なんかすごく綺麗なところじゃね?」


 遠方には360°どこを見渡しても山。ここは盆地らしい。

 そして、かなり大きな湖! 湖面がキラキラしていて水質もよさそうだ。湖はかなり大きい、さざ波だっている。

 湖と反対側は平原が広がっている。大きな木は見当たらない、平原を大きな川が流れているだけだ。


「あの川の端っこが最初に見た滝かなぁ」


 なんて思っていると、突然湖の水面が盛り上がる。

 その大きさはとんでもなく、視界全体の水面が盛り上がったほどだ。


「え? なに? 怖いんだけど……」


 空が暗くなり、ドーン!と何かが降ってきた。

 え! なんかでっかい魚? 牙があるし、鱗も背びれもなんか危険そう。

 これは……危険が危ない!


『よく来たトシオの孫、歓迎するぞ!』


 俺は突然のことに驚き、唯一の武器、ジギングロッドを突き出した。




『主よ……注意したのに……』


「なっ! トラっ! 違うんだ! 俺はこの危険が危ない魚に向かって警戒しているだけで、そっちのもっと危ない龍にはなにもしていない!」


『トシオの孫と聞いていたからどんな奴かと思っていたが……本当に孫か?』


 突然現れたのはかなりでかい、超絶でかい龍だった。

 あれか? ここら辺に大きな木がないのはアイツの生活圏だからなのか?


「ト、トラ、俺は人には武器を向けていない……」


 トラが小声で『ちっちゃいニャ』って言ってるような気がする。

 でも今はそれどころではない。


『あぁ、土産を用意するためにこの姿だったな。人の姿へなろう……』


 そういうと、超絶でかい龍が光だした。光はだんだん小さくなり俺より一回り大きくなったところで、光るのをやめた。

 光の中から現れたのは、黒髪黒目の青年。黒髪だけど日本人風の顔立ちではない。めっちゃイケメン。身長は俺よりずいぶん高い。俺の身長が180㎝だから2mくらいか?そして……


「ハーパンにアロハシャツ……」


「ん? この格好か? トシオはハワイアンとか言っていたが?」


 じいちゃん何やってんの!


「じいちゃんはコチラでも自由に生活していたようですね。海川敏夫の孫、海川充(うみかわあたる)と申します。祖父が大変お世話になったようで、ありがとうございます」


 トラ曰く、すごく偉い人らしいので俺はものすごく丁寧に自己紹介した。


「アタルのことはトシオより聞いている。ワシはエンシェントドラゴンだ。トシオにはシェンロ……「あぁぁぁ!」」


「どうしたアタル?」


「エンシェントドラゴン様、その名前にはちょっと問題があります。祖父がどこでその名前を知ったかわかりませんが、その名前はあなた様には向いていません」


「そうなのか? トラはアタルの世界で一番有名な龍だと言っていたが……」


 トラ、お前が犯人か……


「確かに有名な龍でありますが、その龍の戦闘能力は高くありません。何回か負けていますし、そもそも戦っていた記憶がありません。むしろエンシェントドラゴンの方が強くてかっこいい龍として有名です!」


「かっこいい……か。じゃあ、我に新たに名前を付けてくれ。かっこいい奴な!」


 いや、俺に名前のセンスを問われても無理があるぞ? キジトラの名前がトラの時点で察してくれ。

 ん~、でもあの有名な龍の名前で満足してたんでしょ?適当に並び替えれば大丈夫?


「それでは、ドラッシェン様と……」


「よかろう、我が子に名前を付けてもらうのも悪くないな」


 え? なんかよくないことが聞こえたんだけど。

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