表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/36

第34項 逃夜行

  

 俺とイブキは、夜が開ける前にアジトを出た。


 2人とも旅人っぽい服に着替え、黒いマントを羽織っている。


 夜の市街地を駆け抜ける。

 少しでも目立たぬように、一切の会話はない。


 必要ないのだ。

 すべては、アジトを出る前に段取りしてある。


 丘麓きゅうろくから丘頂きゅうちょうまでは走って10分程の距離だ。

 途中、神殿区域の入り口に神官兵がいるが、ゲートのようなものはない。


 宗教国家の建前上、この国にいる者は全てが信徒であり、区別したり隔たりすることは好ましくない、という教義上の理由からだ。


 個人的にはどうかとは思うが、この際は有難い。


 俺が教祖なら、身近な信者こそ疑うべきだと思うがな。

 しかし、まぁ、きっと、女神様はそうは考えないということだろう。


 そう考えると、転生の際に、俺の前に現れたのが悪魔だったことは、合点がいく。


 なんで女神じゃないの?

 美人女神とか普通に会ってみたいでしょ。


 と密かに思っていたが、俺の精神は悪魔に好かれるってことなのだろう。


 丘綾の中腹の少し手前で、壁の影に身を隠す。


 20メートル程先には神官兵が彷徨うろついている。


 戦わずに勝つ。

 誰か昔の偉い人が、そんなことを言っていた気がする。


 それに死の町では力加減の練習なんてしてないし、間違って殺しちゃったら、死の王にアイツらの顔も追加されるんだろ?


 嫌すぎる。


 なので、俺は秘策を用いることにした。

 それは、人類普遍の原理『お色気』作戦。


 せっかく美人な相棒がいるのだ。

 利用しない手はない。


 ちなみに、イブキにこの話をしたところ、「おに! あくま! 人でなし!!」と半べそで口を尖らせていた。


 無駄な犠牲を出さずに人命を救うためです、と真顔で言ったら素直に言うことを聞いた。なかなかにチョロい。


 不覚にもなんかゾクゾクしてしまった。

 

 メイがいなかったら、神官兵より先に俺がハニートラップにかかっていたかもしれん。


 ということで、イブキに、スカートをズリ下げられ程々に露出した格好で、ブラの肩紐を押さえながらで突撃してもらう。


 がんばれ。イブキ。

 目指すは、主演女優賞だ。


 あっ。神官の目の前で転んだ。

 パンツ丸見えだ。


 よし、ナイスアドリブ!!


 神官どもを俗物へ堕とすのだ。


 と、あまり調子に乗ってると、あとで各方面から詰められそうなので、ほどほどに。


 

 イブキが神官兵を連れ出してくれたことを確認すると、俺は忍び足で、先に進む。


 神官兵が離れるのを見計らって、イブキも追いかけてきた。


 何か文句を言いたそうだったが、今は潜行中だ。

 音を立てるのは良くない。

 俺はイブキに、人差し指を立てて『シーッ』というジェスチャーをした。


 このことはどうせすぐに忘れるだろう。


 

 俺たちは前聖女の邸宅前についた。


 ここのヤツらは、バカ正直に、重要施設を地図に書いていてくれるから助かる。


 あれ?


 見張りとかいないぞ。


 なんで?


 まぁ、居ないならそれに越したことはないんだが。


 ん?


 イブキが口を開けて俺の背後を指差している。



 俺は振り返る。

 

 ……あぁ。なるほど。


 コイツがいるから神官兵の見張りは不要なのか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランキングサイトに登録しました。 面白いと思っていただけたら、クリックいただけますと幸いです。
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ