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妖怪ダンジョン運営記録  作者: メグミ
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「じゃあ行ってくるよ。」

仏壇に飾られた遺影の中で微笑む妹に挨拶をしてから俺は家を出る。

亡くなった当初は写真を見ることすらできなかったが、今では家を出る前に仏壇に手を合わせることができる程度には受け入れることができている。

時間が解決してくれるとよく言うが、案外本当の事だったらしい。

「今日はやけに人が少ないな。」

まったく人気のない道を歩きながら呟く。

朝が早いとはいえ普段なら4~5人程度はすれ違うのだが、今日は1人も見ていない。

何かの行事で通行止めになってるとかないよな?

いつもと雰囲気の違う道中二不安を覚えていると前方から誰かが歩いてくるのが見えた。

どうやら、俺の心配は杞憂だったようだ。

「おはようございます高橋拓斗さん。」

横を通り過ぎようとしたとき、不意に声をかけられた。

知っている人だったかなと思い顔を確認するが、見覚えのない男性だ。

「えーと、失礼ですけど、何処かでお会いしました?」

「いえ、今日が初対面ですよ。私は神の使いをしているものです。拓斗さん、貴方はダンジョンマスターに選ばれました。」

「はい?」

何を言ってるんだこの人は?

ダンジョンマスターって、新手の詐欺か何かか?

てか、何で俺の名前を知ってるんだ?

「そして残念ながら拒否権はありません。早速行きましょう。」

話について行けない俺の事を無視して男性は俺の手を掴もうと腕を伸ばしてくる。

俺は咄嗟に身を引いて男性から距離を取った。

「たぶん同姓同名なだけの人違いだと思います。急がないと遅刻してしまうので俺はこの辺で失礼します。人探し頑張ってください。」

そして相手から反論が出ないように早口でまくし立てて男性の横を走り抜ける。

「逃げても無駄ですよ。」

横を通る瞬間、男性が何かを言ったがそんなのは無視だ。

こういうよくわからない人からは出来るだけ早く逃げるに限る。

「はぁ、はぁ。ここまで来れば大丈夫かな?」

少しの間走った後に確認のため振り返るが、男性が追ってきている様子はない。

どうやら逃げ切れたようだ。

「満足しましたか?」

「え?」

声が聞こえてきた方向に視線を向けるとそこには先ほどの男性が....。

ここまで息が切れるほどの全速力で走って来た。

その上、走り出してすぐは追いかけてくる素振りすら見せていなかったのを確認している。

追いつけるはずはないのだ。

なのに、目の前には先ほどの男性がいる。

それも息を切らすことなく欠伸すらしている始末。

「逃げても無駄って言ったじゃないですか。まったく、人間ごときが手間をかけさせないでください。」

男性はそう言ってまた俺の腕を掴もうと手を伸ばしてくる。

目の前で信じられないことが起こったことで思考が停止してしまった俺は全く抵抗できずに腕を掴まれた。

「貴方が逃げたせいで説明の時間が無くなってしまったので後程ご自分で確認してください。」

男性はそう言って俺の腕を引っ張る。

「ぐっ...」

その瞬間、まるで重力が数倍にでもなったかのような衝撃が襲ってきた。

抵抗を試みるも意味はなく、俺は地面に倒れこむ。

倒れこんでもなお体にかかる謎の力は増していき、やがて俺は意識を失った。

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