友愛者達。支援を惜しまない者。
川本は、レイクのことが好きだった。
恋愛やBLのものとは違う。
彼の優しさや気遣いに好ましさを感じていた。
家族への仕送りを優先して、自身の記憶のバックアップを後回しにしていたことに対しても、同情というより、共感を覚える。
船内での交流で、彼の事情を聞いた時は後悔していた。
もっと早くにそれがわかっていればと。
今、記憶が甦ったあとも、さらに後悔の思いは強くなる。
あと数日の時間の余裕があれば、新規でクラウドのバックアップ領域の契約を結べたはずで、さらに地上への通信の太い回線を確保できていたはず。
そうなっていれば、レイク峰岸のために、直近までの記憶の保存ができていた。
だが、それを実行するために、準備する前に、事故が起きた。
どう考えても、間に合うことはなかったのだろう。
川本は、加茂山淳に聞いてみた。
探査の宇宙船の他の仲間はどうなったのかと。
加茂山淳は答える。
「それぞれに、それぞれの事情や状況もあるが、概ね、復元の作業は終わっているらしい。」
「ただ、峰岸君だけは、すこし気の毒なんだね。」
「もちろん、彼自身は、納得している様子だし、君たちとの交流の記録を、提供された書類を通して学んでいるそうだよ。」
「やはり、そうなんだ。」
川本はすこし考える様子で目を閉じたが、すぐにひとつの提案を口にする。
「なあ、淳君。ぼくは彼のために、最新のアンドロイド躯体とAIを提供してあげたいんだけど、もちろん金銭的な援助を前提にしているんだけどね。」
「わかっているよ。」
淳は当然という顔をする。
「そうなら、話は早いと思うけど、技術的なところで協力してもらえると、ぼくは嬉しいんだけど。」
淳は、グッジョブのときに良く使われる仕草、他の指を握りしめた状態での親指を、ぐっと川本の方につき出した。
「もちろんだよ。ぼくは、君の愛するものを、いつでも大切にしたいと考えているんだからね。」