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第6話 創造魔法習得

「我に創造魔法を授けよ!」


 スクロールが光りだす。

 無数の光の粒子がスクロールから発散され、それが束になって俺に向かってくる。

 光の粒子は次々に俺の中に吸い込まれていく。

 なんだかふわふわするような不思議な感覚だ。

 光は徐々に弱まり最後、スクロールからの光の濁流は途絶える。


 ……うーん、これで習得できたのだろうか?

 最早ただの紙切れになったスクロールを読んで、創造魔法の使い方を確認する。


 創造魔法の機能には習得発動と解析(アナライズ)があり、どちらも創造したい魔法の明確なイメージが必要なようだ。

 解析(アナライズ)をかけると習得したい魔法創造にかかる期間、消費魔力、威力、効力などが表示されるらしい。

 じゃあ、まず試しに創造したい魔法を解析(アナライズ)にかけてみようか。


 ただその前に創造する魔法をどうするか――


 うん。やっぱり最初は5大属性の一つの火魔法かな。

 確か初級魔法がファイアボール。

 中級魔法がファイアウォール。

 上級魔法がファイアストームだったはずだ。


 うーん、新しい火魔法。

 ファイアランスとかどうだろう。

 或いはファイアブレード。

 ファイアスチームみたいな発火する霧なんかも面白いかもしれない。

 他にはファイアピラーみたいな火柱とか。


 とりあえず解析(アナライズ)かけてみるか。


『ファイアランス 解析(アナライズ)!』


 すると解析結果が空中に光り輝く文字で表示される。

 

 ============

 ファイアランス

 威力:小

 消費魔力:小

 創造期間:1日

 効果:燃焼

 ============


 うん、これだとファイアランスは初級魔法くらいのレベルかな。

 じゃあお次はちょっと強そうなファイアピラーだ――


『ファイアピラー 解析(アナライズ)!』


 ============

 ファイアピラー

 威力:中

 消費魔力:中

 創造期間:5日

 効果:燃焼

 ============


 なるほど、ファイアピラーは中級くらいかな。

 中級で5日ね。じゃあ上級はどうなんだろう?

 既存の上級がファイアストーム。火の竜巻。

 それと同等、またはそれを超えるような魔法。

 うーん。


 ファイヤウェーブ。いやちょっと弱いかな。

 獄炎。地獄の獄炎。ヘルズファイアとかどうだろう。

 すべてを燃やし尽くす黒色の獄炎。自ら意思を持ち対象を喰らうとことで力を増す獄炎だ。

 ってそれファイアストームより更に上位の伝説級とかにならないだろうか……。

 まあいいや、解析は減るもんじゃないし。


『ヘルズファイア 解析(アナライズ)!』

 

 ============

 ヘルズファイア

 威力:極

 消費魔力:極

 創造期間:30日

 効果:燃焼、吸収、増大

 ============

 

 威力が極……極ってなんだろう。

 少なくとも上級よりは上だろうな。

 それに創造期間が30日。

 創造するにしてもこれは後回しだな。

 てか消費魔力極とか俺、魔法発動自体できないんじゃないか?


 これは……もしかして詰んだか。

 くそっ、折角どんな魔法でも扱えるようになるのに、肝心の魔力が足りないなんて!

 

 いや、待てよ。もしかするとレベル1の呪いの解呪魔法を創造できるんじゃないか?

 レベル1の呪いの解呪のイメージをしてみる。

 

『レベル1の呪い解呪 解析(アナライズ)!』

 

 今まで光輝く文字で表示されていたそれは赤文字の表示に変わる。


 ============

 創造不可

 理外魔法の効果は無効化できません

 ============


「んなっ!?」


 驚きで変な声が出る。

 スクロールに明記されてない制限があるのか。

 それにしてもやはりレベル1の呪いは理外魔法によるものだったのか。

 だが一体誰がなんの目的で?


 ……まあこれを今悩んでもしょうが無い。

 レベルを上げられないということは魔力量も上がらないということ。

 つまりそれは魔法を覚えてもほとんど俺には発動できないということだ。

 ぐぬぬぬ。


 ん?

 身体強化の魔法ってあるよな。

 じゃあ魔力強化とかの魔法って創造できないのか?

 これはいい案じゃないか?

 試しにやってみよう!

 

 イメージは魔力の強化、魔力量の増大だ。


『魔力強化 解析(アナライズ)!』


 ============

 魔力強化

 消費魔力:小

 創造期間:1日

 効果:魔力強化、魔力量増大、3分継続

 ============


 やった! いけた!

 ということは、つまり魔力強化の魔法を毎回かければ、消費魔力が大きい魔法も使えるようになるって訳か。

 でも威力小だとそこまで魔力量増大しないかな?

 それに毎回魔力強化かけるのは面倒だ。

 3分継続だと戦闘途中で効果切れることもあるだろうし。

 

 もっと強力な魔力強化のイメージをしてみる。

 その魔力に触れるだけで気絶する人間がいるほど強力で、無尽蔵の魔力を誇る。

 それと後は、うーん…………もしかして効果って永続効果をかけられないかな?

 それはチートすぎるから流石に無理だろうな。

 まあ試しにやってみよう。


『極・魔力強化(永続) 解析(アナライズ)!』

 

 ============

 極・魔力強化

 消費魔力:無し

 創造期間:90日

 効果:永続魔力強化(極)、永続魔力量増大(極)

 ============


 すごい! できるんだ!!

 俺は人知れず拳を握りしめてガッツポーズをする。

 これでどんな魔法だって扱うことができるぞ!

 どんなに強力な魔法だって扱える!

 制限は俺のイメージ力だけだ!

 イメージ力の限界まで俺は強く成れる!

 歓喜爆発し、俺はその場に飛び上がる。


 にしても創造期間90日か……これまでの所では最長だな。これもまた後回しだ。


 効果の永続化ができるのはすごい。

 これは完全にチートだろ。

 状態異常耐性の永続化。

 回復効果の永続化。

 身体強化の永続化。


 ざっと思いつくだけでも超強力だ。

 その分、時間はかかるんだろうが。


 さて、ではどれを最初に創造しよう。

 俺は腕組みをし、誰もいない隠しダンジョンの一室で頭を悩ませる。


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