おおいぬ座
こっそりしたお約束。
密かに集まろうと、
声を潜めて囲んだ机。
抜け出したのは、夜だから。
内緒にしたのは、夜だから。
秘密にしたいのは、夜だから。
約束の時間に向かった公園。
通学路だって学校だって、
夜の道と所有物。
初めて夜との二人きり。
大きな月と虫の声。
負けじとカエルも鳴いちゃって。
ひんやりとした空気は、夜の味。
約束の公園に、
近付いて分かったあいつとこいつ。
来てくれた風呂上がりのあの子とこの子。
ひそひそ話と石鹸の香り。
あの子らを送り届けて、
自転車にまたがり手を振るあいつら。
夜と二人きりの帰り道、
月明かりと零れる灯り。
澄み切った夜空に浸った僕まで、
夜になれた気がした。
開けたくない扉と、
閉じたくない扉。
閉じる間際に覗き込んでも、
夜はずっと夜だった。
月越しに
覗いて香る月光花
明かり灯りを繋ぐ夜
見上げ紡いで
招かれ座した星の茶会。
夜の風味透け通り
澄んで微笑む星の交わり。