H.ヘレンのキャンディストアのファング
ドアベルがチリンチリンと鳴り響く。
「いらっしゃいませ」
カウンターの中から、私はいつものように挨拶をした。
ドアを開けて入ってきた若い男の人が、はじめて来たお客さんがよくするように、店内を軽く眺めまわした。
「まだ早い時間だけど、営業中かな」
「うちは七時からなんです。こちらの席にどうぞ」
入り口から三番目の席を示すと、彼はそこに腰掛けた。
「同居人から聞いたんだが」
ぎこちない口調で、彼が話をきり出した。
「ああ。同居人は、オセロットと言えばわかる、って。それで、ここに来れば朝飯が食えるから、と教えてもらったんだ」
「オセロットさんの同居人さんですか」
「弟子になるのかな。ファングだ。よろしく」
「私はリタ。ここ、お母さんのお店なんです」
「そうか。家の手伝いをしながら学校に?」
「ええ、そうです。学校のある日は、朝だけここにいます」
私はメニューを手渡した。
「ご注文、なんにします?」
「ええと……コーヒーをもらおう。一番、安いやつを」
「コーヒーだけでいいんですか?」
「その、あれだ。まだこの街に来たばかりで」
ちょっと言いにくそうに、ファングさんが口調を濁しました。
「今日から仕事を教えてもらうことになっててな。だから、その……」
「お仕事ってハンターですか」
「ああ。この街じゃ、それが一番稼げるって聞いたぜ」
「それなら、今日は私がごちそうしますよ」
「いや、そういうわけには」
「そのかわり、これから毎朝……ううん。毎日じゃなくてもいいから、できるだけこのお店に……来て、くださいね」
そう言いながら、私は目からぽろぽろと涙をこぼしました。
「わ、わかった。わかったから、落ち着いて」
「ごめんなさい。目に、ゴミが……」
「そうか。せっかくだから、今日はごちそうしてもらおうかな。その分は明日また来て、ちゃんと払うよ」
「それじゃあ、ごちそうになってないじゃないですか」
「それもそうだな」
ファングさんの顔に、はにかんだ笑みが浮かびました。
「わかったよ。美人の店員さんの言うことに従うことにしよう」
「はい」
「それじゃあ、オススメを選んでくれ。この店で、一番うまいやつがいいな」
ハンターになっても、彼はとてもやさしくて―――。
私は、また彼を好きになりました。
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一人称の練習で書いています。
読みにくい部分が多く、たいへん申し訳ありません。
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