23.あの壁の穴に逃げ込むぞギリーPARTⅢ
全力で走っているうちに追ってくる五本牙との距離は、かなり開いていた。
俺は走りながらギリーに言った。
「無線で応援を呼んでくれ。このままじゃ、ずっと追いかけっこだ」
「……うるさいっ!!」
こいつ、なんでいきなりキレてんだ。
きっと目の前で同僚が倒れて、動揺しているに違いない。
「大丈夫だ。トニーは無事だよ」
「そんなことわかってるわよ!」
ギリーは目をつり上げて怒鳴った。
ダメだこりゃ。
手のつけられない激怒状態だ。
今日は俺まだ、そんなに怒るようなことしてないぞ。理不尽にもほどがある。
などと思ったとき、ちょうど前方の建物に穴が開いてるところを見つけた。
「ギリー。あ……」
「いい!! よく聞くのよ。あんたは私より先に、あの穴に飛び込むの! わかった?」
「お、おう」
「中に隠れて、五本牙が通り過ぎたらトニーを助けに戻るの! そのあと、他のチームに追いついて、無線で応援を呼ぶから。わかったわね!!」
すさまじい剣幕ぶりに圧倒されて、俺は頭をカクカク頷かせた。
どうしてギリーがこんなに怒っているのか、俺にはよくわからない。
緊急事態だから仕方がないとはいえ、こういうときこそ冷静でないとダメだろ。まったく女というやつは、すぐ感情的になるから困る。
俺は彼女から逃げるような勢いでダッシュして、穴に飛び込んだ。
「よっ……と」
ボロボロになった建物の中に飛び込むと、足元がギシッと軋んだ。
「あぶねっ」
今日もコンフー・マーキナは絶好調。
わずかに重心を傾けて体勢を安定させたのち、脆くなった床から足を引き離す。
これで安心―――と、思ったところにギリーが飛び込んできた。
「どいてぇーっ!!」
今度は避ける暇もなかった。
体当たりをくらった俺が地面に倒れ込み、その上に尻餅をつく。
「あいたたたた……」
「ふぉご、ふぉいてくへぇ」
俺の顔面の上に、ズボンをずり下げた状態で座っているギリー。
ふさがった口で、そこどいてくれと頼んでみた。パンツは白だった。
「いやああああああああああっ!! ばかぁーっ!」
ギリーは警察仕込みの格闘術で俺の襟首をつかむと、そのまま勢いよくつき飛ばした。
よろけた俺の背中が、建物の柱にぶつかった。
「いってぇ……何すんだよ」
「何すんだは、こっちのセリフよ!! なんでなのよっ。なんでこんなこと、何回も……」
ギリーのわめき声に重なって、上のほうからメリメリと建材の裂ける音が聞こえてきた。
「おい。これ……」
「えっ?」
二人揃って見上げたとたんに、天井の亀裂が一気に広がっていく。
次の瞬間、屋根が崩れ、柱がひしゃげ、建物全体が傾いた。
俺とギリーは崩れた建物の下敷きに―――。
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一人称の練習で書いています。
読みにくい部分が多く、たいへん申し訳ありません。
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