22.あの壁の穴に逃げ込むぞギリーPARTⅡ
全力で走っているうちに追ってくる五本牙との距離は、かなり開いていた。
俺は走りながらギリーに言った。
「無線で応援を呼んでくれ。このままじゃ、ずっと追いかけっこだ」
「無理よ」
「どうして?」
「無線機を持っているように見え……」
そう言いかけて、ギリーは破れかけの上着をパッと手で押さえた。
「どこ見てんのよ!」
「まだ何も見てねえよ」
なにやら理不尽な怒られ方をされた気がする。
などと思ったとき、ちょうど前方の建物に穴が開いてるところを見つけた。
「ギリー。あそこだ」
俺は壁の穴を示しながら言った。
「中に隠れて、五本牙をやりすごそう」
「あいつが通り過ぎたら、戻ってトニーを助けるってわけね。先行組に追いついたら、無線で応援を呼べばいいんでしょ。オーケー?」
「そうだ。それでいこう」
俺が予想していたよりも、ギリーは頭が働くらしい。まるで、頭の中を直接のぞきこんだみたいな察しの良さだ。
「先に行くわよ!!」
ギリーは言うなり、壁の穴めがけて跳んだ。
腰のあたりを手で押さえた、変な格好で。
なんだかよくわからんが、ズボンが落ちないように手で押さえているみたいだった。
「おい!! どけっての!」
叫びながら俺も穴の中に飛び込む。
「ちょ、ちょっとまっ……!?」
俺を避けようとしたギリーの足元で、バキッと床の割れる音がした。
「うわぁっ―――!!」
「あぶねっ」
転倒したギリーの上に、俺はダイビングした。
彼女を押し潰さないようにしたら、肘と膝を床に思いきりぶつけてしまった。おかげで盛大に埃が舞い散ったせいで、目も開けていられない。
「あだだ」
手足の痛みをこらえかねて、俺は額を床に押しつけた。
「えっ……」
そこは床ではなかった。
なにやら、ふにふにとした、やけにやわらかいバスケットボール状のものがふたつ並んで―――ギリーの胸のあたりにあるアレだった。
「あ、あ、あうあうあう……」
胸元に顔を密着させている俺を見て、ギリーは顔を真っ赤にして唇を震わせた。
「え、ええっと」
「何やってんのよバカぁーっ!!」
「ごぁっ!」
ぶん殴られた俺は、もんどりうって転がった。
そのまま建物の壁をぶち抜いて、外に転がり出る。
老朽化しきっているためなのか、やけに脆い。まわりに破片と埃が飛び散った。
「……いってぇな!! 不可抗力だろ、不可抗力!」
頬を押さえてわめいた俺の後頭部に、ズンと衝撃が来た。
視界が一瞬、ぷつりと暗くなったかと思うと、目の前に銀色の針状のものが見えた。
俺の頭を刺し貫いた五本牙の―――。
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一人称の練習で書いています。
読みにくい部分が多く、たいへん申し訳ありません。
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