ある日の日記 5ページ目
☆月 日
彼女に会った時、すごく胸がドキドキした。そんな子供のような感想しか生まれないほど、彼女は魅力的だった。
彼女と会うために、何度もサークル室に行き彼女と話した。好きなものとか、そういう他愛もない話をした。
それだけが、死ぬほど心地よくてこれが好きって感情なのかも知れない。もっと彼女といたいと思ったけれど、星を見る会は個人的にしか行っていないから頻繁に会うのは厳しかった。
そんな時、同じ学科の気が合う友人たちとサークルを作ることになった。ただボードゲームをし、ネットゲームをし、チェスをするだけのサークルだった。私はチェスをする友達が欲しかった。気がある友人はチェスには興味がなかった。だったら、サークルを作れば、チェスの相手になってくれる人も現れるかも知れない。
私は二つ返事でサークルのリーダーとなることとなった。
○月▲日
サークルのリーダーとなって一週間。そこそこのメンバーが集まった。噂を聞く者、友人の友人という者、経緯はそれぞれだった。そこそこのメンバーが集まったはずなのに、チェスができる人はいなかった。
まあ気長に待てばいるかもしれない。そう思うことにした。
彼女と部屋で話している時、その人物は突然現れた。
「ねね真渓くん、サークル作ったの?」
「うん。ゲームのサークル。チェスができる人探してるんだけど、誰もいないんだよね。」
「え。私できるよ。」
私は目を見開いて驚いた。こんなにも近くにいたなんて!
「本当に…?双葉さんできるの?」
「うん。別に強くはないけどね。今チェス盤ある?やろうよ。」
夢のようだった。確かに彼女はゲームが好きとは言っていたが、チェスができるなんて!嬉しくて舞い上がりそうだった。
多分この喜びはチェスができる相手が見つかったからじゃないんだろうな。
「分かった。今持ってくるよ。」
「うん。待ってる。」
部屋を出た時私は思わず駆け出した。それくらい喜びに溢れていたんだ。