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四季折々  作者: 文月朧
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ある日の日記 1ページ目

〇月× ×日


暗闇の中、近くにあるスマートフォンに触る。画面が示す数字は丑三つ時を過ぎていた。あぁまた今夜も眠れない。あの日からずっと、満足に眠れた日はない。



どうせ眠れないんだ。いつもの通り、動画サイトを見漁る。好きな動画は何度も見た。


ふと目に留まる動画。勧められた動画の中で見つけたそれはなぜだか私の興味を引いた。



動画を再生する。音が聞こえず、操作して音量を上げる。


死にたくない


その言葉はあまりにも直球で、淀みのない真っ直ぐな言葉だった。


綴られた言葉は何度も胸に刺さった。言葉も音も全てが五感を刺激するような、衝撃があった。




×月。日


今日は眠らなかった。いつもの友人たちが集まり、いつもの戦いを繰り広げるためだ。


時間なんてものはどこかに置いてきたかのように、永遠と戦いを繰り広げる。


私はそれが楽しくてしかたがない。それだけが今の人生の生きがいで、1番人間らしいとすら思う。


彼らには大変感謝している。唯一私を、その瞬間だけでも人間にしてくれるのだから。



× 月× × 日


今日は疲れているはずなのに眠れなかった。先日遅くまで起きていた罰が下るように、昼まで眠り続けてしまった。


今日こそは早く眠り、明日に備えたいと思っていた。しかし今日もまた眠れない。


ベランダに出て、お気に入りの煙草に火をつける。ふわっと消える煙になりたいと思った。こんなな綺麗に消えれるのならば、死ねるのならばどれほど良かっただろう。


人間になりきれない私はいつまでも、簡単に死ぬことなんてできないんだ。


煙草の匂いと近くの金木犀の香りが頬を撫で、鼻を擽る。


感じたことのない心地良さに酔いしれる。


まみこんな些細なことに感動できるのであれば私はまだ、死ねない。死なないだろう。


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