表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

空気読め

作者: 横瀬 旭

 嫁の料理はいつもおいしい。毎日嫁に「おいしかったよ」と感想を伝えている。最初は「ありがとう」と嬉しそうにしていたが、最近は「それ以外に感想ないの?」と言われてしまう。


 『おいしい』のはわかる。しかし、何がどうおいしいのかと問われると言葉に詰まる。


僕はいわゆる『味音痴』だった。


 しかし、そんな僕にも味が細かくわかるものがあった。


飲み物とタバコ。この二つにはとても味のこだわりがあって、少しの味の違いでもわかる。


なぜそうなるのか考えたが、飲み物(液体)やタバコ(気体)は、舌の一部だけでなく、口の中全体に広がり、舌の全体で味を感じとれるからだと結論が付いた。


 そして思いついたのが『空気の評論家』だ。


日本各地の空気を自分の舌で評価して、ブログで発信していこうと思ったのだ。


 評価の方法は、樹木の葉をちぎり、紙に巻いて火を付け、それをタバコのように吸うという方法だった。樹木は、その地の空気で呼吸をしていて、空気の味を知っていると思った。


この方法はブログには載せていない。環境破壊だとか言われて怒られるから。


 ブログのアクセス数がかなり増えてきたため、広告を入れて収益を得て、その収入で日本各地に飛び、空気の評価を行った。喘息を持っている人や、老後は環境の良い場所に移住したいと思っている人たちの参考資料になっているようだった。


 僕は、空気で生計を立てることができるようになっていた。僕の生活全てが空気になった。


僕の存在も、嫁もブログも空気になった。


環境破壊も気にしなくていい。この話も空気になり、全てが空気になった。


 冒頭で出た飲み物の伏線は、思いつかなかったため、蒸発したことにしてほしい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] あと、お嫁さんの料理についても解決してにゃいですね(^w^) [一言] とても面白かったです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ