約束のデート
18時になった。
ソワソワとしながら夏美を待っていた。
「ごめんー、お待たせー!」
「はいはい、5分遅刻ねー」
「ごめんごめん、サークルの先輩に会っちゃってさなかなか帰れなかったの」
そかそかと話は聞き流して行く場所を2人で決めた。
電車で揺られる事30分、着いたのは関東最大級のイルミネーションが綺麗な場所だった。
「綺麗な」
思わず無関心な拓也でも呟いた。
しかし、1つ疑念に思った。
何故こんなに人が多いのだろう。
周りはカップル達が蔓延っていた。
みんなマフラーを巻いてきゃっきゃとはしゃいでいる。
「なんで、こんなに人が多いんだろう?」
純粋に思ったことを夏美に聞くと、夏美は呆れた顔をした。
「今日って何日?」
携帯の日付を見てみると納得した。
「12月24日です」
そーそーと言いながら夏美は拓也の手を掴んだ。
びっくりした。
そして夏美の方を見ると顔を赤くしていた。
気分が良かった。
拓也は人とお付き合いした事は人並みには会った。
しかし、こんな気持ちになるのは初めてだった。
そして、イルミネーションを回りきり時間を見ると22時だった。
「送ってくよ」
「ありがとうね」
そしてイルミネーションが綺麗だったとか、次は温泉街に行ってみたいとか、たわいもない話をしながら夏美の家の前についた。
「今日はありがとう」
「こちらこそありがとう、楽しかった」
「じゃあ、いくな」
とまた素っ気ないやり取りをして拓也自身も帰路に着いた。