夏美との約束
カラスの鳴き声が聞こえた。
長い夢を見ていたようだった。
支度をして拓也は通う大学に向かった。
「おはよう!」
みんなに元気よく挨拶した。
無論、カラ元気の他ならない。
「おはよー」
一限目は簿記の授業だった。
仕訳がどうとか、財務諸表がどうとかあれこれ言ってはいるが一向に入ってこない。
しかし部屋にいる事で単位が取れるので取り敢えずは座っておく。
恐らく大学生の大半がそうだと思った。
別に勉強になんて関心がない。
やって何か得があるの?
楽しい時間を潰して勉強してそしていい会社に入ったとしてもそこからビシバシと仕事をしてまた楽しい時間が潰れて。
勉強をしてる人達はなんてマゾな人達だと。
授業が終わってご飯の時間になった、学食はいつも混むので大学近くのラーメン屋さんに入った。
「醤油ラーメン1つ」
愛想のいいマスターははいよと言いながら、素早い手際でラーメンを作りにかかった。
その時ガラガラとラーメン屋さんにまた誰かが入ってきた。
「あ、拓也くんじゃん!」
「おー、夏美!昨日はごめんな」
「いやいいよいいよ、、、、ちなみに今日は空いてない?」
唐突な誘いに一瞬困惑した。
しかし1つ返事に
「あいてるよー」
と愛想なく答えた。
嬉しくないわけじゃない、夏美は150cmと低めだが非常に綺麗な女性だ。
声も、優しく恐らく誰からもモテるそんな人だ。
ただ、だからこそなんで俺にずっと構ってくれるだと裏を探ってしまう。
「じゃあ、授業終わり18時に校門前に集合ねー」
「はいよー」
マスターの出してくれたラーメンを食べながら答えた。