表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
くっ殺から始まるデュラハン生活  作者: クファンジャル_CF
第四話 星の娘
41/213

神話の終焉

封印が解けた!一本鎖が残っているが、引きちぎる事はできる。少々手間取るだろうが。

彼女・・は歓喜に打ち震えていた。

それよりも、神器・・ども。私の量子機械・・・・による自己修復を阻害している憎き刃。何やら高速で交信していたが、どうやら地上の断片より得た情報を共有していたようだ。傍受・・したところ、神について。この世界における脅威の存在についての情報のようである。好都合だ。

東。地平線の彼方へと視線を向ける。あれか。かつて、私を痛めつけた神々の首魁。

強敵を倒すにはまず頭を潰す必要があろう。貴重な情報である。まずはそいつを殺そう。

それにしても。

あの戦闘中。銀河諸種族連合・・・・・・・との決戦から敗走し、機械生命体(マシンヘッド)どもの追撃から逃れる最中、銀河系中央・・・・・の超巨大ブラックホール(・・・・・・・)に落ち込んだ際。一体どのような作用が起きて、このような場所へつながったのだろうか。それともここは事象の地平線の内側なのか?奇妙な均衡を保ちつつも崩壊した物理法則に支配された、異世界。

学術的な意味では、大変に興味深くはある。もちろん、脅威への対処の方が重要だが。

太陽が、昇る。私の敵が。

さあ。待っていろ。その首、食いちぎってくれよう。


  ◇


死霊術師の眼前。女騎士は、神器の欠片に手を沈み込ませ、そして微動だにしなくなっていた。一体、何が起きているというのか。

そして、神獣。あいつはしばしの間動きを見せなかったが、やがて、ふわりと浮かび上がった。瀕死の重傷にしか見えないというのに、信じがたいほど軽やかな動き。一体どのような力で浮いているというのか。

次の瞬間。東の空から上った朝日が、死霊術師の斜め後方より神獣を照らした瞬間、そいつの姿は消滅していた。

太陽を破壊しに行ったのか!?

振り返った死霊術師。その体を、背後から優しく抱き留める腕があった。

女騎士だった。

「……ぅ……」

「もう、大丈夫、だと……?」

死霊術師の疑問に、女騎士は指を伸ばした。太陽の方へと。

視線を向けた彼の眼前で、太陽すらも凌駕する閃光が一瞬だけ広がり、そして収束。消えて行った。

太陽は。人の類は、救われたのだ。


  ◇


―――やれやれ。考えてみればこいつも可哀想ではあるな。

輪廻は。その端末・・たる武装は考える。

―――私たちに追い詰められて。ブラックホール(・・・・・・・)に落下する刹那、いきなり次元が裂けたんだから。気が付いたら未知の世界で、混乱してる中攻撃されて。

そして輪廻は苦笑。

―――ま、だからと言って手は抜かない。約束があるから。

無慣性機動・・・・・中。光速の48%と低速・・で飛翔する神獣に突き刺さった輪廻は、原住民たちが"大地"と呼称する天体―――平面の岩塊なのになぜか全域の重力が一方向に向けてほぼ1Gで大気も保持してるなんていう代物が天体?―――と、同じく"太陽"と呼称する天体―――あっちはもうデタラメすぎて何と言っていいのか分からないよ―――とのほぼ中央に差し掛かった頃。

―――じゃ、さよならだ。

全体に遍在する量子機械・・・・を活性化、トンネル効果(・・・・・・)を制御し、構成原子・・・・の大半を内側に"落下"させ、シュバルツシルト(・・・・・・・・)半径・・内に収束、マイクロ(・・・・)ブラックホール(・・・・・・・)と化して蒸発。自爆した。

輪廻に貫かれていた神獣は、この世から消滅した。


  ◇


……ここは?

彼女・・が気付いたとき、そこは極限の放射線・・・に満たされた地獄だった。振り返ればとてつもなく巨大な構造体。超巨大・・・ブラックホール(・・・・・・・)に引き寄せられたガスや天体が巡る、一種異様な光景がそこにはあった。

……長い、夢を見ていた気がする。

時計・・を見れば、追撃を受けていた時からほとんど時間が経っていない。

体を見下ろす。

そこに突き立っていた三本の刃は、いずれも消滅していた。これならば自己修復も叶うであろう。

生き延びたことに安堵すると、友軍と合流すべく、彼女・・超光速機関・・・・・を活性化。速やかにその場を退去した。

彼女・・が―――金属生命体群突撃型指揮個体"わざわいの角"、個体名"角禍つのか"が、自らの内側に圧縮された膨大な記録と、そしてブラックホールに住まう超知性体からのメッセージに気付くのは、ずっと先の話である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ