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Avalon Rain ~終焉の雨と彼女の願い~  作者: 音無 一九三
第一章【凶変の召喚魔法】
18/53

17 解き放たれる災厄 2

 

 闇に溶けるような黒いローブに身を包んだ4人組は、やや姿勢を落としながら、およそ100メートル程の距離を置いて、前方を行く6人組を追っていた。

 100メートルなど離れれば、夜の帳が広がりつつある状況で正確に相手の影を追うことは、相応に難しい。しかし、『視覚拡張(リブリア)』と呼ばれる無属性の法術によって強化された視覚、そして監視係2人が双眼鏡を用いることによって、前を行く6人の姿を見失うことなく、確実にその姿をしっかりと捉えていた。


 これだけ距離を置いている以上、向こうが此方に気づくことはない。さらに言えば、目指す場所もわかっていて、尚且つ相手は歩いているのだ。見失う筈もなかった。



「……ターゲット、α地点まであと500メートル程よ。どうするの?」


 監視係の女が、双眼鏡を構えたまま、背後に立つリーダーとおぼしき男にそう言った。


「街に潜り込んでいた潜入班は沈黙、”あれ”の行方も、わからない。どうする…?」


 監視係ではないもう1人の騎士が、そう言って歯軋りする。


「……やむを得ん。対象を無力化する」


 リーダーの男は、しばらくの沈黙の後、そう返答した。その表情は固い。

 元々、彼等はレーヴェティア付近にて待機しているメンバーだった。だが、昨夜、想定外の事態が起こった。



 突如としてレーヴェティアから、ラーノルド・トゥーレリア率いる7名の騎士が、西の方向に出立した。

 どういう状況かは定かではないが、しかし追わないわけにもいかなかった。その結果、待機メンバーから10人程が、ラーノルドを追跡。

 すると、街から歩いて半日程のところで、いきなり結界魔法を展開し始めるに至った。巨大な三角錘の結界は、外からでは内部の様子を窺い知ることが出来ない。


 さらにそこへ、翌朝の10時程に、西の方角からとんでもない速度で舟が飛んで来た(・・・・・)。陸を舟が飛んで来る等という、そんな想像だにしない出来事に唖然とした男達。

 結界の目前で停止した木製の舟から降りてきたのは、若い騎士4人と中年2人の一行だった。


 中年の方は、事前に情報のあった協力者の筈のガイルとウルド。それを見て、計画の第3段階の成功(・・)を確信しかけた男達であったが、すぐさまそれは疑念に変わった。

 コーザル達が、いない──。


 よくよく見てみれば、舟の大きさは船頭から船尾まででおおよそ3メートル程。横幅は、大の大人が2人並んで寝そべることが出来る程度。

 重量やら何やらを無視するなら、頑張れば10人くらいは乗れそうだが、コーザル達34人を含めれば、その人数は40にも及ぶ。とても乗れるわけがない。


 どういうことかと不審に思っていると、騎士の1人が、舟を収納魔法で格納する様を目撃するに至った。

 収納魔法の使い手──。しかも、それなりの容量を持つ者であることは、言うまでもなかった。


 男の脳裏に、およそ考えうる中で最悪の方法が浮かんだ。しかし、そんな馬鹿げたことが出来る筈もない。


(そんな悪魔のようなことを、する奴がいる筈ない…)


 男は左右に頭を振って、その考えを頭から追い出した。



 思えば、ここに至るまでも状況が思うように運んでいないのだ。

 レーヴェティア内に侵入していた者達からは、ある時を境に連絡が取れなくなった。まず間違いなく、無力化されているだろう。

 そこまでに得ていた情報と言えば、『勝利の御旗(フューリアス)』なる若い4人組のパーティが西門からとんでもない速度で出立した、ということだけ。


 現時点でも当初の計画から大幅にずれているのだ。これ以上のずれは勘弁願いたいところであったが、男達はさらに混乱することになった。

 結界の中に入っていった一行は、しばらくすると、結界から出てきて、街の方に向かって歩き出した。しかし、結界は解けることなく、展開されたまま。


 結界の展開時間だけでも、既に数時間は経っている。そんな長時間展開されている結界魔法の時点でお腹いっぱいだというのに、まるで弱る兆しすら見えない。

 そして、結界から出てきたのは、どれだけ待てども(さき)の6人のみ。


 ということは、未だラーノルド・トゥーレリア等は、あの結界の中にいる、ということになる。


 当然そちらを捨て置くことは出来ず、しかし街へと向かう6人組も放置出来ない。

 結局男達は、その場に6名を残し、4名が結界から出てきた騎士達を追うに至った。



 そして、今に至る。

 こうなれば、あの6人組を捕らえるしか手はなかった。

 少なくとも、何も握ってはいないだろうがガイルとウルドは始末(・・)する必要がある。既に前段階の計画は失敗に終わっているのだ。ここを逃すといよいよ後が無い。


「α地点にて制圧する。D班、F班に連絡を。情報の通りなら、Cランク程度の騎士だ。必要はないと思うが、念には念を入れる」


「了解」


 リーダーの指示で、もう1人の男が仲間に連絡を取るべく、『魔導式情報端末(テレサ)』を取り出した。その瞬間だった。リーダーの男と、連絡を取ろうとした男。その両名が一瞬視線を外した、そのつかの間の空白に、事は動き出した。


「ターゲット停止! ”赤色”が魔法を発動中! あれは…エアリアル・レイドだ!」


 双眼鏡にて前方の6人組を監視していた女が、慌てたようにそう言った。

 魔力によって強化された女の目は、この黄昏時であっても、視認対象の色もしっかりと認識出来る。

 その目には、紅蓮の髪を靡かせて、こちらの方向、斜め上空に両手を翳す少女が映っていた。


 その前方に向かって、少女の手から放たれた5つの緑色の魔力が、等間隔で一直線にリングを生成していく。


「まさか、こちらに気づいたとでも言うのか…! 馬鹿な…!」


 腰の鞘から剣を引き抜いたリーダーの男。これだけ暗くなれば、肉眼でも見える。遥か前方に、確かに緑色の光が見てとれた。


「あそこからこちらに攻撃しようとでも言うのか…? いったい何を飛ばすつもりだ…?」


 エアリアル・レイドは、通過した物体を加速させるリングを作る、風属性の法術だ。従って、それを発動したということは、何かしらをこちらに飛ばすつもりなのだろう。

 しかし、そこは木すら殆ど無い、大平原のど真ん中。在るものと言えば、せいぜい石くらいだ。


 しかし、連なったリングは、やたらと上方向を向きすぎている。真上とまでは言わないが、それは殆ど地面に対して直角に近しい角度だった。



「大丈夫だ、あんな上を向いてちゃ届く筈もない。何を考えているんだ」


 もう1人の双眼鏡を構えた男が、嘲笑混じりにそう呟いた。


 確かにその通りだ。仮に魔法の精度が低くて、飛距離が伸びないからそれを補おうとしたとしても、その角度ではここまで届くまい。


 いや──。


「なら、何故あんな角度に…?」


 飛距離を伸ばす? いや、そもそもおかしい。此処まで届かせることが出来ないような奴が、何故同時に(・・・)魔法を扱える。

 新緑の光輪(エアリアル・レイド)の数は5つ。そのどれもが、ほぼタイムラグもなく同時に作られた。


 そんな技量を持つ者が、その程度の筈がないだろう──。

 なら、であるならば、此方に気づいたのではなく、空を飛ぶ魔物でもいたから、それを狙っているのか?


 戸惑いの中、前方の騎士達(フューリアス)の取った行動に、男達はさらに驚くことになった。


「"茶色”が”灰色”を…持ち上げ……え?」


「どうした!?」


「”灰色”をロスト!」


 女の悲鳴のような声があがる。その声に僅かに遅れる形で、何かが空を割くような音が、男の耳に飛び込んできた。

 それは、まさに砲弾を放ったかのような、何かがこちらに向かって飛んできているような──。


「上だ…ッ!!」


 リーダーの男が、そう言って真上を指差した。双眼鏡で視界が狭まらず、かつ魔導式情報端末(テレサ)に目を落としていたわけではないからこそ気づくことが出来た。

 吊られて、その場の全員が視線を上に向ける。男達の遥か上空。そこには、刀を持った人影が1つ。その刀身が、激しい紫電を纏っている。


 その影の真下に、遠方から新緑の光輪(エアリアル・レイド)が放たれる。



「アイゼント流刀剣術・閃系三式──『神月(シンゲツ)』!」


 男達の耳に届いた、少年の一言。

 人影が、斜め上方への飛翔の勢いを殺すように、中空で1回転する。そして、そのまま落ちるように、輪を潜る影。男達が少年の姿を捉えることが出来たのは、そこまでだった。

 そして、次の瞬間、激しい轟音が鳴り響いた。まさしく眼前に雷が落ちたような、とてつもない衝撃。


 爆音が鼓膜を揺さぶり、強烈な光が視界を包み、そして凄まじい衝撃が、全身を撃ち抜いた。


 何が起こったのかを悟った頃には、男達は全員が地に伏していた。今まで自分達が立っていた場所は、ある地点を中心に数メートル程、大きく抉れ、ひび割れ、とても平原(・・)等とは呼べない有り様だった。

 全身が痺れて、思うように動けない。


「うーん、やっぱりやり過ぎたか? 加減はしたから死んじゃいない…よな?」


 直接刀身を当てたわけではない。刀が穿ったのは、彼等の近くの地面だ。だが、そこから生じた衝撃波と雷撃は、彼等を無力化させるに足るものだった。

 爆心地を思わせる程に大きくめり込んだ地面に立つ少年──アルフは、そう言って頬を掻いた。


「く…」


 思うように身体が動かず、しかしそれでも立ち上がろうと、リーダーの男は両腕に力を込める。咄嗟に『身体強化(ストリア)』によって身体を強化していなかったら、今頃相応の重傷を負っていたことだろう。

 うつ伏せの上体が若干持ち上がったか、というところで、その首筋に銀閃が走る。


「動かない方がいいよ」


 首の皮1枚分ほど手前で止まった刀身。あと数ミリ動いていたら、血が流れていたところだった。



「あんたがこのパーティのリーダー、ってことでいいのかな?」


「……ああ」


「ひとまず拘束させて貰うよ。話はそれからだ。素直に従ってくれれば、無駄な死体は増やさずに済む」


「……」


 停止した男は、目だけを動かして状況を確認する。どうやら死んではいないようだが、特に監視係として双眼鏡を構えていた2人は、とても動ける状態ではなさそうだ。

 防御が間に合わなかったのか、命に別状は無さそうだが、損傷が激しい。

 リーダーの男と同じく、痺れて身体は動かないものの、他の2人に比べると比較的マシな方であったもう1人の男が、静かに頷いた。


 ──どちらにせよ、今は反抗すべきではない。


「…わかった。従おう」


 男はそう言って、目を伏せた。


(身体が動くようになれば、反撃の機会は訪れる。それに、こちらが捕らえて話を聞く予定だったが、こいつ等と話が出来るというのは、いい機会かもしれん)


 腹の内で幾らかの算段を立てながら、アルフの指示に従い、男は投降した。




 ************************




「おお…すげぇ威力だなぁこりゃよぉ」


「流石はマキナ老師の剣術、と言ったところか…」


 収納から取り出した縄で男達を縛っていると、追い付いてきたガイルとウルドが、その惨状を目の当たりにして、そう呟いた。


「だから言ったでしょ? ちょっと過激だって」


 最後の1人を拘束し終え、アルフはそう言って振り返った。


「ちょっとなんてもんじゃねぇだろ! 大体エアリアル・レイドで突っ込んでくアルフも大概だが、ローゼの嬢ちゃんもそうだぜ…。下手すりゃ、アルフの坊主は粉微塵だ。第一、1撃で仕留められたから良かったものの、もしそうじゃなきゃいきなり4対1だったんだぜ?」


 エアリアル・レイドは、輪を潜った物体を加速する法術だ。しかし、本来細かな制御には向かない魔法と呼ばれる力は、大概大雑把なものだ。

 詰まるところ、常に失敗のリスクは付いてくる。あの法術の場合、もし失敗すれば、輪を潜った瞬間にアルフの身体は弾け飛んでいただろう。

 そして、ガイルの言うとおり、もしかわされてしまっていたら、アルフはいきなり4人を相手にすることになったかもしれない。そもそも敵の実力もわからないのだ。それは、あまりに無謀な話だ。



 だが、ガイルの言葉に、アルフとロッティは、さも当たり前のように、ほぼ同時に返答した。


「ロッティなら問題ないよ」


「アルフなら問題ないよー」


 それは、全幅の信頼。お互いがお互いを信じて疑わない。いや、最早信頼と呼ぶことすら生ぬるく感じるまでだった。



「……どうかしてるぜ、まったくよぉ」


「そうは言うけど、グレイやロッティがやったら、きっともっとえげつなかったと思うよ?」


 アルフが苦笑しながらそう言って、その辺の石ころを蹴飛ばしていたグレイに視線を向けた。


「あれよりかぁ? んじゃあグレイよぉ、おめぇならどうしてたんだよ?」


「んぁ? オレは遠距離魔法は出来ねぇからな。そりゃあ、まどろっこしいし、こうだよ」


 返答するなり、グレイは誰もいない方向を向くと、(おもむろ)に上体を曲げて地面に両手をついた。そして、フン、と短い気合いの乗った声。すると次の瞬間、スプーンでゼリーか何かを掬うように、しかしそれに反して重い音をあげながら、地面が文字通り、くり()かれるように持ち上げられた(・・・・・・・)


 その光景に唖然としたのは、ガイルとウルドだけではなかった。拘束されていた男達も、一様にその馬鹿げた光景を前に言葉を失っていた。


「よっ」 


 直径10メートルに届かんばかりの地面の半球を、グレイはそのまま前方へ放り投げる。

 それは、ちょうど50メートル程先に出現したオーク数匹を、地を揺るがす音と共に押し潰した。


 辛うじて直撃を避けて生き残ったオーク達は、突然飛来した半球状の岩盤に押し潰されて絶命した仲間を見るなり、一目散に逃げ出した。


「な、単純だろ?」


「ば、馬鹿野郎! あんなもん食らったら死ぬわッ! 避けたり防いだり出来なかったら殺しちまうじゃねぇかよ!」


「だからアルフに任せたんだって。これでもコーザル達と戦った時だって、かなり気を使ってたんだぜ? 下手したら土手っ腹を打ち抜いちまうし」


「じゃ、じゃあよ、ローゼの嬢ちゃんなら、どうしたんだ?」


「あたし? あたしだったら……めんどいし、こうかな?」


 ロッティが右手を翳す。その方向には、先程グレイの岩盤投げから辛うじて生き残ったオーク達の後ろ姿があった。その右手に3色の光が灯る。

 それらはロッティの手をぐるぐる回るようにしながら収束し、やがて4つの魔力に分かたれ、そして放たれた。


 1つ目は青く澄んだ魔力。直線上に、放たれた直後から広く横向きに三日月形を形成し、直進する地面を凍らせながらオーク達に迫り──。

 2つ目と3つ目は緑色。左右に大きく広がりながら弧を描くように飛来し──。

 4つ目は紫色の光。激しく火花のような稲光をあげながら、オーク達の上空へ──。


 そして、その4つが、ほぼ同時に炸裂した。

 氷属性の魔力が、オーク達の脚を凍結させ、左右から反対方向に渦を巻く2つの竜巻がオーク達の上半身を捻じ切り、そして、最後に上空から落雷が迸り、抵抗する暇も無く、オーク達は沈黙した。


 4方向3属性の同時攻撃を行う法術──『三手ノ災禍(ミカヅチ)』。冷気、2つの異なる回転の竜巻、そして雷撃の、4つの異なる法術を同時に放つこの法術は、当然のことながら相当に難しい。

 当然のことながら、他属性を同時に扱えるスキルは必須であり、なおかつそれをコントロールする力が必要となる。


 魔法は、特殊魔法を除けば、基本的には自身の身体から直接放つ法術と、物を媒介にして放つ法撃の2系統に分類される。


 法撃は、遠距離にはあまり向かない。手元を離れると拡散しやすい性質にあるためだ。その代わりとして、近距離には猛威を振るい、かつ法術には不可欠な軌道予測演算と呼ばれる能力を必要としない。

 そして、その軌道予測演算がないがために、その分のリソースを威力等に回すことが出来る。


 対して法術は、遠距離攻撃にも秀で、物を介さないために直接放つことが出来る。そして何よりの特徴が、その魔法が通る軌道を予め設定することで、ある程度複雑な軌道で飛ばすことが出来る、ということだ。

 軌道予測線と呼ばれる、法術使用者の視界に描かれる線によって、これから放つ魔法の軌道を設定する軌道予測演算は、飛距離が増すほど、その軌道が複雑になればなる程、そして扱う数が増えるほど、その難易度は加速度的に増していく。


 もしアルフが今のロッティの攻撃と同じことをしろと言われても、匙を投げるだろう。


 余談だが、グレイが遠距離攻撃の類いが出来ないのは、2つの要因によるものだ。1つは、異常に拡散しやすい魔力性質であること、そしてもう1つは、この軌道予測演算の能力が壊滅的に無いことだ。

 詰まるところグレイは、遠く離れた敵に攻撃しようとすると、敵に接近するか、或いは(さき)のように、何かを投げるくらいしか方法がないのだ。



 ──閑話休題。



「こんな感じかなー?」


「だから死ぬっつってんだろッ! もっとこう、安全な法術を使えんだろおめぇならよお!」


 どうってこと無いという風にそう言ったロッティに、間髪入れずにガイルがツッコミを入れる。それに対してロッティは眉を潜めながら、

「えー、だって面倒だし、1人くらい無事なら十分じゃんかー。死んでなきゃ、回復させればいいんだし」

 と、不服そうにそう言った。


 ──尤も、オーク達の成れの果てを見る限り、その1人もどうだったかは怪しいが。


 真っ青になるガイル。しかし、それ以上に、拘束された男達の顔色は悪かった。もしかしたら、自分達がああなっていたかもしれないということを、まざまざと見せつけられたのだから。



「……そうだ、嬢ちゃんならどうだ! リィルの嬢ちゃんなら、もっとこう、平和的に何とかなんだろ!?」


 最早救いを求めるかのようにリィルを見るガイルに、リィルは困ったように苦笑した。


「えっと、そうですね……私なら、これを使って攻撃する、かな」


 腰のホルスターに収納されている魔力銃を指しながら、リィルが控えめにそう答える。


「おお…。そうだよ、これだよ、これが正しいやり方だろうよぉ!」


 ガイルは心底安心したように、そう言って笑みを浮かべた。しかし、それは肝心なことを捨て置いた意見である。


 魔力を銃弾のように発射するということは、つまり、媒介を通して魔力を放つ攻撃であるということ。そう、リィルの魔力銃による攻撃は、本来遠距離攻撃に向かず、細かい軌道を設定できない筈の法撃(・・)なのだ。



 ガイルの言う正しいやり方(・・・・・・)が、『こんな暗がりで、100メートル以上遠方の敵を、複数同時に、法撃を使って正確に撃ち抜き、無力化する』という神業にも等しき方法だということは、もうガイルの頭からは抜け落ちていた。


 ただ、とリィルが言葉を濁す。


「4人を一気に、ってなると、やっぱりちょっと難しいかな。敵の実力もわかっていない状況だし…。だから、多分加減しきれないで殺してしまうかも…」


 それは、言外に、4人をほぼ同時に無力化出来ると言っているに他ならず、そしてまた、それがちょっと難しい(・・・・・・・)程度である、ということを指すことになるのだが。



「ほら、オレがやったのが幾らか平和的に見えてきたでしょ?」


 アルフがそう言って、肩を竦めた。


「……」


 ツッコミを入れる気力を無くしたガイルの肩に、そっと手が置かれる。


「諦めろ……。こいつ等を常識の尺度で測るのは間違いだ…」


 ウルドの言葉は、尤もだった。常識が通用しないからこそ、『勝利の御旗(フューリアス)』は『苛烈なる問題児達(フューリアス)』なのだから。



「お前等、本当にCランクの騎士なのか…?」


 拘束され、大人しくしていたリーダーの男が、青い顔をしてそう言った。


「あ、なんだオレ達のこと知ってたんだ。じゃあ、調査不足だったね」


 対してアルフは、笑みを浮かべながらそう返答する。


 ──ああ…。自分達は、何て奴等に手を出してしまったんだ。こんなことならば、結界の方に残れば良かった。

 男達がそう思ったのは、言うまでもない。が、その考えがすぐに間違っていることを男達は認識した。


 何故なら、結界の方にはアルフ達『勝利の御旗(フューリアス)』以上にとんでもない存在──ラーノルド・トゥーレリアと、レーレ・キャンベリアがいるのだから。

 どちらを選んでいても、彼等に希望は無かったわけだった。


 ただ、完全に運が無かったというわけでもなかった。突っ込んで来たのがアルフだったからこそ、男達はかなりの手傷を貰いながらも、手足が吹っ飛ぶようなことにも絶命することにもならなかったのだから。



「まあ、今はそんなことよりも──」


 アルフの言葉で、『勝利の御旗(フューリアス)』とガイル、ウルドの視線は、1ヶ所に固められて後ろ手に縛られた4人の黒いローブの者達に向けられた。


「色々と話してもらいたいんだけど、答えて貰えるのかな?」


 腰の鞘に収めた刀の柄に手を伸ばしながらアルフがそう言った。拒否するなら首を飛ばす、という意味を孕んでいることは、男達にもよく理解していた。

 尤も、そのアルフ自身、そんなつもりは無い。答えないなら、気絶させて収納魔法でしまうだけなのだから。


 3人の男女の視線が、リーダーの男に向けられた。男はしばらく沈黙し、その後チラリと仲間の内の1人に目を向けた。それは、アルフによる襲撃の直前、『魔導式情報端末(テレサ)』にて連絡を取ろうとしていた男だ。リーダーに目線を向けられた男も、小さく頷いた。どうやら、素直に従う方向に纏まったらしい。



「幾つか、教えて欲しいことがある。それに回答して貰えるのであれば、こちらも腹の内を明かすに(やぶさ)かではない。だが、答えて貰えないのであれば、腐っても我々は騎士だ。我等の事は、墓場まで持っていこう」


 男の目は死んでいない。それは、覚悟の表れだ。例えこの場で殺されることになったとて、男は口を割らないだろう。そして、それは他の3人も同様だった。

 アルフが、肩越しにグレイを見る。グレイは、男達のそれを同じように、小さく頷いた。


「……わかった。なら交互に質問を繰り返していく形にしよう。先にそっちが質問でいい。それで問題ないかな?」


 アルフはそう言って、刀の柄から手を離した。

 このような方法を取ったのは、もちろん、そうでなければ男達が答えないと踏んだからだ。

 そして、それは同様に、男達もまた然り。一方的に質問したとして、アルフ達は答えないだろう。ならば、同じく情報を明け渡すしかないだろう。現に、男達も知りたいことが幾つかあるのだ。

 それを知らずしては、この後の動き(・・・・・・)にも差し障る。


「問題ない、感謝する」


 男はそう言って、黙礼をした。


 これは、どちらがより多くの情報を相手から引き出せるか、という水面下の勝負だった。



「まず、1つ目だ。……『召喚魔法の書』は、お前達が持っているのか、収納使い?」


「いきなりそれか…。その質問の答えは、ノーだ。オレ達は持っていないよ。今度はこちらからだ。あんた達とコーザル達は、同じ目的の元で動いてるのか?」


「…ああ。我等の目的は共通だ。次はこちらの番だ。コーザル達をやったのは、お前達4人で間違いないな?」


「ああ、その通り。コーザル達の身柄はこちらで預かっているよ。……質問だ、何故『召喚魔法の書』を狙った?」


「……召喚魔法を…成功させるためだ」


「……へぇ」


「次はこちら、だな。『召喚魔法の書』は、どこにある?」


「今もレーヴェティアの中だよ。召喚魔法の成功が目的だった言ったね、なら、少なくともあんた達は召喚魔法を成功させるための何かしらのことを握っている、ってことだね。何を知っている?」


「…我々も詳しいことは知らない。我等のような末端の騎士が、知るよしもない。ただ、こちら側の知りうる情報だけでは、召喚魔法は成功しないのだそうだ。そして、その不足を補うのに必要なことが、あれには書かれている、らしい。あれの内容は、我等も知らんのでな」


「……」


 この質問は失敗だったな、とアルフはそう思った。やはり末端の人間が、そんな大それた情報を握っている筈もない。


「質問だ。何故レーヴェティア騎士団の団長──ラーノルド・トゥーレリアがあんなところに来ている?」


「それについては、オレ達も知らない。むしろ、あんた達の方がよっぽど詳しいんじゃないかな。こうしてあんた達がオレ達を捕らえようと、後を付けていたわけだし」


「……ふん」


「今度はこっちの番だ。コーザル達は、何処にいる?」


「今はあの結界の中にいるよ。…召喚魔法を成功させようとしているのは何でなんだ? あれの危険性は、言うまでもない筈だ」


「知れたことよ。イクリプシアを滅ぼすためだ。お前達は知らんのだ。レーヴェティアという安全な場所にいるのだ、当然だろうが、な。奴等の──イクリプシアの脅威がどれ程のものかを…」


 男の顔が、苦悶に歪む。それはアルフ達にとって、いい情報だった。

 ある予測が立てられたからだ。それは、男達がこのギリア大陸以外の場所から来た者である、ということだ。


 この地上には、4つの大陸がある。レーヴェティアやヴァスタードといった街がある、このギリア大陸。南北に広い面積を有するこのギリア大陸は、地上で最も大きな大陸だ。

 だが、このギリア大陸、対イクリプシア戦線の最前線が敷かれている大陸であるのに反し、実のところイクリプシアは、その最前線以外には殆ど出没しない。


 理由は、イクリプシア達の住まう、遥か上空──超高高度にあるがために豆粒程に見える『浮遊大陸(エリアルグランデ)』にある。()の大陸は、地上最大の面積を誇るギリア大陸以上に広大なのだ。そして、イクリプシア達が地上に来る方法は、ある1つの手段を除くと、もう1つしか存在しない。

 それは、『浮遊大陸(エリアルグランデ)』から落ちることだ。ギリア大陸の超上空に、ギリア大陸以上の面積を以て浮かぶ巨大な大陸。そこの縁の真下は、広大な海か、或いはギリア大陸の西側にある、他の3つの大陸だ。


 結果、イクリプシアが地上に現れる地点は、そうやって飛び降りてきた先の3つの大陸か、或いは唯一の例外的に地上と繋がっている、ヴァスタードのすぐ東の、戦線の最前線となる。


 そして、ヴァスタード所属の者である可能性よりも、別の大陸の者である可能性の方が高いのは、元々『召喚魔法の書』がヴァスタードにあったためだ。

 何故ヴァスタードに所属する者が、わざわざ盗み出す等という手を企てる必要がある。必要ならば、「寄越せ」と言えばいいのだ。


 まあ尤も、それが危険であることを理解しているヴァスタードが、そんなことを言うとは思えないが。



「耳が痛いね。確かにオレ達はイクリプシアに会ったこともないし。仰る通りだ」


 気取られないように、アルフは相手の言葉に合わせて、そう言って嘆息した。そんなアルフを睨みながら、男は次の質問を口にした。


「……。お前達があの結界の元に、あの馬鹿みたいな速度でやって来た際、舟からコーザル達が降りてきた様子はなかった。ならば何故、コーザル達が結界の中にいる等という事態になるのだ?」


「あんたがさっきオレを呼ぶ時にした呼称の通りだよ」


「……ッ! 馬鹿な…! 本当に収納魔法で運んできたとでも言うのか、お前は…ッ!」


「その通りだけど」


「悪魔め……!」


 収納魔法で、人を収納する──。それが何を意味するか、わからない筈もない。つまり、30人以上の人間を収納出来るだけの大容量の収納を持つことはさることながら、同時に、その存在を抹消してしまうかもしれない収納魔法を、おいそれと人間相手に使った、ということだ。

 男がアルフを指して”悪魔”と称したのも、頷ける話だった。


「場合によっては、あんた達もその悪魔(・・)の手に堕ちるかもしれないけどね」


「く……」


 眉間に皺を寄せる男に、アルフは余裕の笑みを浮かべる。だが、アルフは内心では焦りが生じ始めていた。


(どうする…このままじゃ、埒があかない。それに、こちらの切れる手札は──向こうがオレ達に訊きたいことなんて、そう多くはない筈だ)


 交互に質問するようにしたのも、確かに男達から情報を引き出すためだが、その最たる部分は、結局のところこちらの手札が少ないからだ。アルフ達の持ちうる情報がどこまで男達に通じるか、それはあまり分の良いものではない。質問をする度に、こちらの手札は無くなっていくのだ。知りたいことに対して、対価に出来る情報が少なすぎる。

 そして、踏み込んだ質問も中々出来ずにいた。それは、この交互に質疑応答を繰り返すという状況が、壊れてしまうからだ。


 明確に相手が答えられないところまで踏み込んでしまえば、男達は口を濁し、こちらの質問に答えなくなるだろう。それは、相手から情報を引き出す機会が失われることを意味する。つまり、どこまでこの状況を維持できるか──それがこの戦いの分水嶺だ。


「次の質問だよ。何故、ガイルさんとウルドさんが利用されたんだ? 他にも選択の余地はあったのだと思うけれど」


「……そこの2人が、手駒として選ばれたから、というだけだ」


「……え?」


 驚きの声を漏らしたのは、ガイルだった。


「ちょ、ちょっと待てよ、オレ等は確かに仕事先でロイの野郎に会ったけどよ、そんな…誰かに選ばれるようなことをした覚えはないぜ? どういうことだ」


 ガイルの記憶には、偶然声を掛けられたロイに、今回の1件を依頼されたということしか覚えがない。そして、自分達はEランクの騎士だ。

 誰かに指名されるような、そんな大それた騎士ではないのだ。なら、どういうことか。


「その質問に答える義理はないな。それとも、それが次の質問か?」


「うっ……」


「ガイル、落ち着け」


 ウルドの言葉で我に返ったガイルは、出かけた言葉を呑み込んで引き下がった。今は、この戦いを邪魔するべきではないことは、ガイルにもわかっていた。


「ふん……。先程、『召喚魔法の書』はレーヴェティアにあると言ったな? ならば、今回そこの2名が盗み出したものは何だったのだ?」


「真っ赤な偽物。その偽物も、もう燃やしちゃったけどね。……何故、『召喚魔法の書』がレーヴェティアにあることを知っていたんだ?」


 それは、気になっていたことではあった。重要文書であるが故に、『召喚魔法の書』の存在は、公にされていない。

 アルフ達も、今回の任務に際して、そういうもの──持ち出されたのは偽物だが──が盗まれたことを教えてもらっただけに過ぎない。そして、召喚魔法が危険なものである、ということを知識として知っているから、それについて書かれたものなら危険だ、と思っているに過ぎないのだ。


 だが、ならば何故、今回の1件は起こったのか。

 どこからレーヴェティアにあることを知ったのか。


「どこからの情報かは知らない。だが、そういう情報があった、ということだけは事実だ」


「……」


「コーザル達の『魔導式情報端末(テレサ)』の反応が、未だあの廃墟付近にあるようだが、全員無事なのだろうな?」


 この世界の情報網の常套手段である『魔導式情報端末(テレサ)』は、特殊な加工が施された『アウラノ結晶』が使用されている。端末の使用時に満タンになるまで魔力を吸い上げ、貯蔵する仕組みだ。従って、意図的に破壊されない限り、魔力の消費量も微々たるもののため、およそ1週間──この世界での1週間は、5日間──は待機状態が続く。

 これは、持ち主が負傷、殉職等、自発的に連絡の出来ない状態となった際に、『魔導式情報端末(テレサ)』の反応から、その持ち主がどこにいるのかを調べることが出来るように取り込まれた機能だ。


「全員、命に別状はないよ」


「そうか……」


 そろそろ、こちらの切れる手札は尽きかけか──。さて、それならここらで仕掛けるしかあるまい。

 そう判断して、アルフは踏み込んだ内容を問うことにした。


「あんた達、どこの街の者なんだ?」


「……」


 しかし、男からの回答はなかった。そりゃそうか、と自答するアルフ。この質問に答えることは、自分の所属する街を売る行為に等しい。

 仕方なく質問を変えようかと思ったその時、僅かに男の口の端が持ち上がったのをアルフは見逃さなかった。

 アルフは他の3人にも視線を動かしたが、彼等は下を向いたまま。特に動きはなかった。その動作の最中に、リィルに目配せをしたアルフは、彼女が男達に悟られないように指で丸印を作ったのを確認すると、再びリーダーの男に目を向けた。


 男はアルフの視線が戻って来るまで待つと、アルフの目をみて明確に笑みを浮かべた。


「その質問に答えることは出来ない。というより、その必要は無くなった」


「……何故かな?」


「なに、簡単なことだ。こちらの知りたいことは、もう全て知ることが出来たからな。これ以上問答を続ける必要は無い」


「こっちの方が質問回数が少ないんだけどなぁ…。あと1つだけ答えてくれないかな?」


「何を言われようが、答えることは無い」


「むう、じゃあ仕方ないか。そうなると、もうあんた達を外に出しておく理由も無いわけで、詰まるところ、悪魔の手に堕ちることになるけど、構わないよね?」


 そう言ったアルフの手の先に黒い穴が空く。空間そのものを穿ったような異次元へと至るその穴は、闇のように暗く、中を見ようとしたところで、黒以外の何もわからない。

 それを見て、男達の頬を汗が伝う。

 目の前の悪魔のような少年が、大人数の人間を収納出来る能力があることは、コーザル等のことから、嫌という程わかる。


 収納魔法──。生物をしまう場合には、その意識を刈り取る必要があるが、つまり、ここで意識を失ったが最後、存在そのものが消滅するかもしれない。

 それがなくても、この少年が収納から取り出さない限り、2度と陽の目を見ることは出来ないかもしれない。


 死体すら残らない、死ぬこと以上の恐怖に苛まれながらも、しかし男は笑った。


「……構わん。ただし──」


 ──刹那、アルフ達を囲うようにして、全方向から、魔力の光が暗闇を照らした。その数は数十に及ぶ。そのどれもが発動前、そして距離も50メートルは離れているが、これだけ連発されれば、ここら一帯には相応数の魔法が殺到する。

 それは、ここにいる男達を巻き込むことも厭わない、ということを意味していた。


 だが──。


「──ただし、ここを生き延びられれば、なんて言うつもりだったのかしら?」


 言葉と共に走った、幾筋もの閃光。空よりも海よりも青いその閃光が、氷の属性を与えられた魔力の弾丸が、或いは真っ直ぐに、或いは緩やかなカーブを描きながら、或いは屈折しながら、次々と魔法を放とうとしていた者達に殺到した。


「うがッ……!」


「がぁああぁあ…!!」


 至るところからあがる苦悶の声。それは、縛られた男達にとって、阿鼻叫喚の地獄を思わせる光景だった。

 そんな男達を嘲笑うように、1つ、また1つと展開していた魔力の輝きは霧散し、或いは明後日の方向へ飛んで行き、そしてとうとう、全ての光が消え失せた。


「ロッティ、リィルの指示を聞きながら、周りの奴等を集めてくれ」


「あいあいさー!」


 アルフの言葉に、ロッティが腕を回しながらそう答える。そして、リィルの指した方角、距離に『魔女の銀糸(メーガス・ライン)』が放たれた。まるで魚を釣るかのように、ロッティが腕を振る度、次から次へと傷を負った者がこの場に引き摺れてき来る。


「ほい、ガイルさん達も手伝って」


「お……おう」


「…わかった」


 アルフ達は、手早く傷を負って呻く者達を、アルフの収納から取り出された縄で縛り上げていく。その数、延べ20人。中には、手足が千切れかけている者や、放っておくと命に拘わりそうな状態の者もいたので、必要最低限の応急処置も忘れない。



「馬鹿な……馬鹿な…! 何だ…何なんだお前達はッ…!!」


 悲鳴のような叫びに、ようやく最後の1人を縛り終えたアルフが、振り返って口を開く。


「質問はこちらの番の筈だけど…まあいいや。オレ達は、ご存知の通り、『勝利の御旗(フューリアス)』。レーヴェティアで問題ばかり起こしている、問題児の集まりだよ」

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