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フオーン・ジャイアント・ドラゴリザード!

短いですm(_ _)m


びゅん!ザシュッ!


「ぐるるおぉおぉっ!」


俺の目の前で『フオーン』ダンジョン最下層、ラスボスであるフオーン・ジャイアント・ドラゴリザードが倒れる。


あっれー?おかしいな……『フオーン』ダンジョンのラスボスって、『赤いつつ』冒険者が十五人くらい束になって、三~四人死ぬ前提で勝てるくらいの相手って載ってたよな?


今、クーシャが正面から走り込んで、飛び上がって一撃、で首が落ちたようにしか見えないんだが……。

ああ、首を落としてからが本番とか、そういうことなのか?

我は第二の、第三の変身を残しているとか、そういう話?


ドラゴリザード種は飛べないドラゴンと呼ばれるほどの強力なモンスターだ。いや、だった。

もう死んでた。

ドラゴンブレスと呼ばれる最強クラスの魔法を放つこともなく、樹齢千年の丸太みたいな足から繰り出す地揺れ(クエイク・モーション)を起こすこともなく死んだ。


長く伸びた首と頭の付け根、一番細くなっているとはいえ、クーシャの剣よりあからさまに距離があるはずなのに、断面は綺麗なものだった。


クーシャは、自重を支えきれずに倒れたドラゴリザードの胸元の鱗を剥がして、出来た隙間に剣を突き立てる。

何度が繰り返してから、剣を捻るように抜くと、ごろん、と出たのは人間の頭くらいある魔晶石だ。


「あれ、残念……前に挑んだ冒険者がいたみたいだね……。

クズ魔晶石だけど、これくらい大きければ、それなりの金額になるはずだよ!」


血塗れの巨大クズ魔晶石を笑顔で俺に差し出してくる、クーシャ。


「こ、これ……いや、その前にそれ……」


ドラゴリザードの首の断面の話を聞きたいが、渡された荷物も持たなければ、とちょっと俺は混乱している。


「ああ、オーラソード?」


「オーラソード?」


「ええと、気力を込めた剣技って言えば分かるかな?

実際には、体内オド、だっけ?魔術なんかの素になる生命力らしいけど、それを気合いで剣に移して、投射する……みたいな?」


「説明、フワッとしてんな……」


「ああ、前に『クリムゾン』に教わったんだけど、イマイチ原理が理解できなくて……」


「ん?原理が分からず使えるのかよ……」


「まあ……要は気合いだよね!」


うん、クーシャも頭弱いタイプかよ……。


「あ、それでコレ、はい、あげる!」


「は?いや、待て、くれるの?」


「うん、売れば五百ジンくらいにはなるから……」


「いや、もらえねーわ!

リザードマンの魔石と違うんだぞ!?」


「え?あの、ほら、もっといいもの取れるって言ったでしょ?」


「は?それが、コレ?

いやいや、『フオーン』ダンジョンのラスボスだぞ?」


「あー……ごめん。き、気にいらないよね……ただの無色魔晶石だし、しかも、クズ魔晶石だし……」


ごとん、とクーシャが巨大魔晶石を床に置く。


「じゃ、じゃあ、行こうか!」


そのままクーシャが行こうとするので、慌てて止める。


「いや、待て、待て!

置いていくのかよ!」


「あ、う、うん。僕には必要ないものだし……」


「だって、売れば五百ジンにはなるって……」


「ああ、そこまでお金が大事って訳でもなくて……『海底遺跡』の奥なら、それくらいの価値の物はいくらでも取れるし……」


「ちょ、ちょっと待ってくれ……んじゃ、クーシャは何のためにダンジョンに潜るんだよ……」


「えっ!?……さ、先が見たいから……」


「先?」


「うん。『海底遺跡』はようやく六層まで見られたんだ。

でも、まだまだ先がありそうだし……。

お金は必要だけど、携帯食料とか冒険の消耗品くらいにしか使わないし……。

本当はベルくんを六層まで案内してあげられればいいんだろうけど、『海底遺跡』は誰かと潜るなら二階層くらいまでしかフォローする自信がなくて……」


「……いや、よくそれで超級冒険者までなれたな!?」


「僕もそう思う。もっと……それこそ『ロマンサー』くらいに強ければ、もっと先へ行くのも簡単で、ベルくんにも見たい景色を見せてあげられるんだけど……」


「そうじゃなくて。強さの話じゃなくて、動機の話だよ……先が見たいって、それだけで命がけの冒険ができるのかって話し……」


「え、うん……変かな?」


「変……じゃないけど、ダンジョンの先ってモンスターの種類が変わったりするだけだろ?」


「ううん。罠も変わるし、雰囲気が全然違ったり、そもそも法則が違うダンジョンとか、面白いよ!

この先にある『海底遺跡』もね、見たらびっくりするよ!」


あ、これ、語る態勢に入ったな、と感じる。

クーシャは自分が語りたいことになると、途端に饒舌になる。

『ディープパープル』と『クーシャ』が混ざったような感じだ。

だが、こうなると会話にならないというのも経験済みだ。

すかさず、言葉の隙間に入る。


「やっぱり、これ、もらっていいか?」


「かいて……あ、うん、ごめんね。その程度で……」


「いや、充分すぎだから!」


「それでね、海底遺跡は行けば分かるんだけど……」


俺は適当にウンウンと頷きながら、クーシャを促して先に進むのだった。


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