裏切り者たち。腕一本。
セイリアや『ガーディアンズ』の斥候たちに協力してもらって一週間。
クーシャからは、今、順調にこちらに向かっているとの手紙があった。
クーシャに渡した『取り寄せ魔術』の食糧が減っている、とアルから報告があったので、少し心配していたが、ようやくひと安心だ。
今、アルファは『王都』でスパイみたいな仕事をしているので、アルに研究所との往復を任せている。
『取り寄せ魔術』は死者なら送れるから、これはアルに任せるしかない。
研究所では、俺が『王都』で作成した魔印を他のアンデッドに配ったり、問題が起きていないか監督してもらったり、クーシャとの手紙のやりとりをしたりと色々とやってもらうことがあるのだ。
アルは『取り寄せ魔術』で移動する時のぐにょんとした感じが面白いとか言っているが、それは生者である俺には分からない感覚だ。
そして、俺のところには、色々な情報が集まって来ていた。
まず、『銀輪騎士団長』アンティ・パストだが、ついに尻尾を掴んだ。
アルファに霊体化して尾行させたところ、『黄昏のメーゼ』から派遣された中級ゴーストが接触してきたのだ。
ただ、この中級ゴーストにいち早く気付いたアルファは咄嗟に逃げたため、どのような話がされていたかは分からない。
そして、中級ゴーストは未だにアンティ・パストに憑いているため、アルファは近付けなくなってしまった。
そして、『ガーディアンズ』やセイリア、ワツイズの情報により、百名近い兵士や下級騎士が引き抜かれようとしていることが分かった。
その引き抜かれようとしている者たちだが、アンティ・パストだけの動きではなかった。
『フツルー領主』レイモン・グレフル、『サダラ領主』シーザー・クルト、『宮廷魔導士筆頭』カラーゲ・クーン、『ダンジョン統括大臣』スヴァイス・チーキンと、かなりの数の裏切りが判明していた。
引き抜きにあった兵士たちの内、ダインを始めとして二十人ほどから証言してもらう約束も取り付けた。
じいちゃんからは昨日の内に、王との謁見を取り計らってもらうようにお願いした。
そして、俺は城から呼び出された。
「ベルさん、これを……」
俺はアステルに頼んで神殿から借り受けた、聖別されたマントと聖印を身に着ける。
アンティ・パストを糾弾するには、アルもアルファも連れていけないからな。
城の中、謁見の控え室で俺は『点眼薬』を使う。
俺の他にはダインを始めとした二十人の兵士たち。証人というやつだ。
それからセイリアとワツイズもいる。
帯剣は許されないので、全員護身用の短剣を身に着けて、そわそわしている。
「ダインさん、それから皆さんもコレを……」
俺はその場にいる人たちに『点眼薬』を渡す。
「お、おい、これは?」
「見えない敵を見つけるための目薬です」
「だ、大丈夫なんだよな、奈落大王……」
ダインは謁見という慣れない場所で不安らしい。
「大丈夫ですよ。皆さんは誘いをちゃんと断っているんですから、誉められこそすれ、咎められることはありません。
保証しますから」
「お、おう、そうだよな……少し心がぐらつきはしたが、ちゃんと断ってるしな……」
必死にダインは自分を鼓舞している。
相変わらずバカで粗野で、だが、それが他の人たちの緊張を緩める結果になっていた。
俺はもう一度、全員に確認する。
「話は俺がします。皆さんは『ヴェイル殿の申し上げたこと、嘘、偽りございません』と答えるだけです。練習しときますか?」
「お、おう、頼む……」
ダインが言うと、控え室の扉が開いた。
呼び込みの者が声を掛けてくる。
「今より謁見です。扉までどうぞ……」
「ええっ!?」
ダインが情けない声を上げるのに、全員がクスリと笑った。
「次の者を!」
これは宰相の声か?
「平民、ヴェイル・ウォアムどのー!」
呼び込みが謁見の間から呼ばわり、扉が開かれる。
俺を前に、全員で謁見の間へと進み出て、平伏する。
「面を上げ、顔を見せることを許す……」
俺たちは顔を上げた。
「さて、じいたっての願い故、特別な謁見だ。
皆にも申し渡したが、我が兄上の名を騙る不埒もの、ちまたでは『王兄派』と称する叛逆の徒の情報を齎したのが、この者だ。
本日は証拠を持参したと聞いたが?」
謁見を求めた理由は先に伝わっている。
「はい、その通りにございます……」
顔を上げたダインたちは、王ではなくある一点を見つめている。
王の周りの文官・武官はその視線が気になるのか、チラリ、チラリとそちらを気にする。
王が聞く。
「なにごとか?」
「それは、コレのせいにございましょう……」
俺がセイリアに目配せすると、台座に載せた『点眼薬』をセイリアが持って、横に並ぶ。
「それは?」
「敵を見抜く目薬にございます……」
「待て、それでは敵がこの中にいるとでも言いたいのか、貴様は!」
宰相が大きな声を上げた。
「使っていただければ分かるかと……」
俺は焦ることなく言う。
すると、アンティ・パストが声を上げた。
「王を愚弄する気か!」
「そうだ!戯言で王を惑わす腹積もりであろう!」
追従したのはカラーゲか。
ざわざわとあちこちから声が上がり始める。
ダインたちは全員萎縮して平伏してしまった。
「黙らんか、バカ共!お決めになるのは王ぞ!」
じいちゃんの一喝。場が静まる。
「証拠を示すと聞いたが?」
王は取り乱すことなく、俺に話を振った。
「百聞は一見にしかずと申します」
俺は頭を下げる。
「では、このじいめが……」
じいちゃんが前に出ようとするが、それを王が手で制する。
「カーネル翁、わたくしめが……」
前に出たのは『近衛騎士団長』だ。
『近衛騎士団長』は『点眼薬』を使った。
「……ふむ、特に何が変わったとも思えんな。
王よ……」
『近衛騎士団長』は俺たちを見回し、視界に問題が出ていると思えなかったのか、王に報告しようと振り向く。
だが、その途中で見てしまう。
俺たちが見ていたモノ。
中空に浮かび、落ち窪んだ眼窩、この世を羨むような半透明の存在。中級ゴーストだ。
「……な、なにやつ、か……」
『近衛騎士団長』は帯剣している。
その帯剣している剣に手を伸ばすが、抜き放つまで行かない。
「く……これは、幻覚の類いか……」
「いいえ、事実です。我らもすでにこの眼にしかと捉えております。
黄昏のメーゼはたかを括っているのでしょう……」
俺は極力平静を保ちつつ言う。
「よろしければ、今見えているものを説明していただきたく思います。我らの言葉では、疑う者も出るでしょうから」
「構わぬ、キーシュ、説明せよ!」
王がその唯ならぬ『近衛騎士団長』キーシュの豹変ぶりに、声を挙げる。
「はっ!は……半透明の恨みがましい目をした……男……これが、ゴースト……」
「ゴースト……それが見えるというのだな……」
王が『近衛騎士団長』の見上げる先を見て、目を凝らす。
そのゴーストの真下にいた文官・武官たちがざわめきながらも、後退りする。
その輪の中には、アンティ・パストが立っていた。
アンティ・パストは滴る汗を拭うこともできず、辺りを見回す。
「待て……どこにゴーストなど居ると言うのだ……」
ダインたち、そして『近衛騎士団長』の視線がそれを指し示している。
「そいつだ!そいつは死霊術士だ!貴様!俺を嵌めるつもりか!」
『銀輪騎士団長』アンティ・パストは剣を抜き、一歩、俺へと近付く。
「おお、アンティ殿に合わせて動きましたな……」
勝手に『点眼薬』を使ったじいちゃんが、嬉しそうに報告する。
じいちゃんはゴーストを見ながら、宰相に『点眼薬』を渡す。
だが、周りの文官・武官は俺へと視線を向けた。
ダインたちも、だな。
そんな中、王だけが泰然と椅子に座ったまま、視線をアンティに向けた。
「アンティ、何故、ベルちゃんが死霊術士だとバラした?」
「王よ!私が疑われたのです!そこのカーネルと共にこのデブが汚い詐術で私を嵌めようとしました!
私は……私は……今まで王に尽くしてきた者として……断じて許す訳には行かない!」
アンティが俺に剣を振り上げ襲いかかる。
おわっ、襲って来るならゴーストだと思ってたから想定外だ。
俺は近くにいる『近衛騎士団長』に近付く。
『近衛騎士団長』は腕に『異門召魔術』を装備している。
それ、使わせてもらうぜ!
「ヴェイル・ウォアム!やましいことが無いなら動くなっ!」
王からの叱責が飛ぶ。
ええ〜っ!?無茶苦茶言ってない、この王様!?
だが、確かに俺が動いたところで大したことはできない。
ちくせう……一瞬の迷いで動く意味が失せた。
もう間に合わない。
腕一本くれてやる!
腕を抱え上げて、これからのことに思いを馳せた。
死ななきゃいい。腕一本無くしても、死ななきゃアルの復活はできる。
でも、腕一本か、怒るかな、アル……アステルには泣かれそう……。
ギンっ!
金属同士が火花を上げるような音が響く。
俺は痛みがないことに安堵して、助けてくれた相手を見る。
「ダイン……」
ダインが短剣で一撃を防いでくれた。
「邪魔をするなっ!貴様、我が国の兵士だろうが!」
アンティ・パストはダインを蹴りつけて、ダインは吹き飛ばされる。
「おやめ下さい!」
次に立ったのはセイリアだった。
「セイリアさん……」
「邪魔をするなら斬る!」
アンティ・パストの一撃をセイリアも短剣で受けるが、セイリアは軽々と吹き飛んだ。
「そこまで!」
王が言い放つと同時、俺の前には『近衛騎士団長』キーシュが剣を抜いて、アンティ・パストの剣を受けるのだった。
「王よ!止めて下さるな!」
「見苦しいぞ、アンティ・パスト!」
王がアンティ・パストを叱責する。
「ほれ、もうやめんか!ベルちゃんが怖がるじゃろうが!」
じいちゃんはアンティ・パストの足を杖で掬う。
「ぬおっ……」
アンティ・パストは転びはしないものの、片膝ついて座るような格好になった。
「ふむ……そこのゴーストはやはり、アンティに憑いているように見えるな……」
王は『点眼薬』を使ったらしい。
文官の一人に『点眼薬』を渡した。
「宰相、お前はどう見る?」
「はい、わたしにもゴーストはアンティ殿に憑いているように見えます。
それと、ベルちゃんがゴーストを使役しているなら、助けを求めてもよさそうなものだと見ましたが?」
「確かにな……」
王は考え込む。
「いてて……」
ダインが立ち上がろうとすると、槍を構えた近衛騎士たちが短剣を取り上げ取り押さえる。
それはセイリアも同じだった。
「ちょ……おい!」
俺は声を上げる。
「ヴェイル・ウォアム」
「そいつらは俺の命の恩人だぞ!槍とか向けてんなよ!」
「ヴェイル・ウォアム!」
「あん?」
俺が険しい顔で振り返ると、声を掛けていたのは王だった。
あばばばば……。
「し、失礼しました……」
俺は慌てて平伏する。
「ふふふ、やはり素はそういう感じか……」
「あ……いえ、これはですね……」
「良い。許す。その者たちも許す。
ベルちゃんを信じた者であろう。
だが、アンティ・パスト。そやつを捕えよ!」
「お、王!何故、わたしが!?」
アンティ・パストに近衛騎士たちの槍が向けられ、縄を掛けられる。
「王!これは何かの間違いです!何故、わたしが!?わたしは王の腹心ですぞ!」
「潔白ならば焦る必要はない。アンティ、まずはそのゴーストを浄化してこい!」
アンティ・パストはどこかへ連れられて行った。もちろん、憑いているゴーストもだ。
「王よ!王〜〜っ!」
連れて行かれる間もアンティ・パストはうるさかった。
「さて、ベルちゃんよ。
確かにゴーストはいたな。そして、我が言葉を聞き、ベルちゃんはやましい所はないと証明した。
さすがに殺されるとなれば、死霊術士なら、何かしらするかと思ったが、ゴーストは動かなかった。
これならば、ベルちゃんの言葉を信じてやれるな……」
ああ、やっぱり信じられてなかったのか。
「まあ、最初が『魔導飛行機』の中、命を握られての交渉だ。
無事に戻ってから捕縛されなかっただけ、ありがたいと思って貰わねばな……」
んん?最初に王に直訴した時、王はそう考えてたのか!?
確かに、魔導飛行機の運転は俺しかできないし、交渉失敗したら、王をどこかに置き去りにして逃げようとか思ってたけど、王からしたら短剣突きつけられて、話し掛けられた状態だった訳か……。
「そ、それは申し訳……」
「まあ、良い。あの時の話にはそれなりに頷ける部分もあったからな。
それに本当に私を害するつもりだったならば、あのような告白はしないだろうという目算もあったしな……」
つまり、俺が死霊術士だと告白したことで、ある程度は『信用』してもいいと思ったってことか。
「さて、皆も知ってしまったからには、説明せねばなるまい。
ここにいるヴェイル・ウォアムは死霊術士だ……」
ざわり、このことを知る腹心の八人、今はアンティ・パストが捕縛されたから七人以外は騒ぎ出した。
だが、王は続ける。
「だが、国に対する一定以上の功績、そして人民を脅かすことがないよう調べることを条件に、国家公認死霊術士として内定を言い渡してある!
まあ、それは今後の話だ。
今は『王兄派』なる叛逆の徒がこの王都に巣食うかもしれぬ証拠とそれに『黄昏のメーゼ』が噛んでいるらしき噂を確かめるが先決!
悲しいかな、アンティ・パストとアンデッドであるゴーストの繋がりが見えた以上、この前提で動かねばならぬ!
まずは皆でベルちゃんの話を聞くとしよう!」
そう言って王は俺に視線を移した。
「はっ!それでは、話させていただきます……」
「ベルちゃん。何度も言うが、畏まらずとも良い。そなたの言葉で伝えてくれ。
でなければ、真意が読めぬ……」
むむむ……そう言われてしまうと困るんだが……。
チラリ、とじいちゃんを見れば、じいちゃんは頷く。
「あ〜、分かった。平民なんで、言葉使いの悪さはご勘弁を……」
「うむ、許す!」
「ここに連れて来たのは、俺が『王兄派』だと見ている奴らから、取り込まれそうになって、それでも国の忠義のために、今の地位を選んだ人たちだ。
『王兄派』。ポワレン様の兄、フォート・フォル・コウス様を掲げる売国奴ね。
ちなみにフォート様はアンデッド、『黄昏のメーゼ』の傀儡だと読んでいる」
「何を馬鹿な……」「妄想が酷い……」「それはメーゼ様を陥れるための……」
あちこちから声が上がるが、王の「黙れ。まずは話を聞いてからだ……」の声で黙る。
俺は続ける。
「基本的に『王兄派』が狙うのは国の土台を支える兵士や下級騎士。
王都の門を守る警備隊長、城を守る部隊長、食糧を預かる輜重隊員、武具の仕入れなんかを担う文官辺りだ。
基本的に全員、地位向上と報酬アップを餌に自陣営に取り込むことから始めていた……」
「待て、能力を認めた者であれば、当然、上の地位へと推挙する。普通のことだろうが」
そう言うのは『ダンジョン統括大臣』だ。
「ですよね〜。ってそれが可笑しいんだよ。
貴族が大した功績を残した訳でもない奴を上に引き上げる?
街の飲み屋で聞いたら、大笑いされるぞ?
この国の既得権益をわざわざ下級騎士や兵士に分け与えてやる奇特な貴族がいるなら、ぜひ、紹介して欲しいが、そんな御仁でしたね、『ダンジョン統括大臣』様……そんな貴方はこの人のことは覚えていらっしゃいますか?」
俺は、控えている二十の中の一人を立たせる。
「誰だ?知らんぞ……」
「え?」
立たされた男は目を丸くする。
「あの、先日、お声を掛けていただいた、ヤーキです。
スヴァイス様から、お前の力でダンジョンをひとつ運営してみないかと言われ、自分にはそのような大役は無理ですと言いましたら、考えておいてくれと仰っていたじゃないですか……」
「知らんな。人違いじゃないか?」
「そんな……」
俺はヤーキを座らせる。
「全員の証言を聞きますか?同じような話が延々と続きますが?
まあ、時間の無駄ですね。
資料はここに纏めてありますから、後で確認して下さい。
俺の結論としては、『王兄派』と目される者は次の方たちです。
『銀輪騎士団長』アンティ・パスト、『フツルー領主』レイモン・グレフル、『サダラ領主』シーザー・クルト、『宮廷魔導士筆頭』カラーゲ・クーン、『ダンジョン統括大臣』スヴァイス・チーキン、以上、五名は下級騎士や兵士の取り込みに動いていました。
実際に取り込まれた者は別の資料に纏めてあります。
皆さん、望外の出世に喜んでいました。
上が空くなら、出世できるでしょうね。務まるかはともかく……」
俺が語る言葉に、他の者たちからこの場にいる『ダンジョン統括大臣』と『宮廷魔導士筆頭』へと視線が集まる。
「な、なにを馬鹿な……」
「そうだ……世迷い言を……」
スヴァイスとカラーゲは狼狽えつつも、俺を睨んでいた。
「ふむ……どうやって、ここまでの情報を掴んだ?じいの協力か?」
王が問う。
「いえ、じじいはベルちゃんと引き離されておりましたので……」
じいちゃんは王に抗弁する。
ああ、じいちゃんはわざと俺と連絡が取れないようにされているって話だったもんな。
まあ、実際には連絡取ってたけど。
王の真意は測りかねるが、たぶん、俺を泳がせて俺個人の『信頼度』を知りたかったんじゃないかと思っている。
ちなみに今回の謁見をセッティングしたのはじいちゃんだが、俺は俺でセイリアを通じて、謁見を願い出ているのだ。
じいちゃんはそれを聞きつけてフォローに走ったという形にしてある。
俺は王に答える。
「冒険者に頼みました。王都の冒険者は貴族や商人の護衛を引き受ける者が多く、他の街の冒険者と違って顔が広く、交渉ごとに強い者が多い。
まあ、金は掛かりますが、その分確度の高い情報が入ります」
これは嘘じゃない。まあ、実際にはアルファなんかも使っているが、どうせならと『ガーディアンズ』だけでなく、依頼として他の冒険者も起用している。
「ふむ……それは面白いな……ダンジョンだけではないという事か……。
では、スヴァイスとカラーゲは身の潔白が証明されるまで、城の客間へ。
レイモンは確か屋敷におったな。それも客間だな。あとはクルトか……屋敷を調べよ。
まさか、クルトがいるとも思えんが、銀輪……いや、『金十字』から人を出せるか?」
「はっ!直ちに!」
『金十字騎士団長』が答えた。
城の客間か。軟禁みたいなもんか。
「さて、これでベルちゃんの話は終わりか?」
「はい……」
「うむ、今回の騒動、間違っていたらただでは済まん。それは理解しているな?」
「はい」
俺はしっかりと王を見て答えた。
告発した五人はアルファを通じて、裏が取れてる。
問題はない。
「ならば良い。功績、ひとつとしておこう。
それから、国に忠義を尽くし甘言に惑わされず、勇敢にも証人として立った者たちよ。
甘言通りとはいかんが、恩賞を取らせる。
これからもこの国を頼むぞ!」
ダインたちは深々と頭を下げるのだった。