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☆3
「私は反省したんですよ。何であんなによってたかってみんなして私のことをいじめたのか。首だけになって、遠くに転がる自分の体から血が流れ出るのを眺めながら、よく考えたんです。でも、わからなかった」
魔王はそう話し始めた。箒を手に、ご近所さんとの会話のような気軽さで。しかもなぜか場所は俺の実家の庭先だ。
「だから、みんなから人気があって、正義の味方とされる勇者のことを学ぼうと思って。勇者自体は忙しそうだったから、どんなところで過ごしていたのかと思って、勇者の故郷に来ました」
魔王はにっこりと笑った。ややどや顔だ。
「よくここだと分かったな」
「看板がいっぱい立っていました」
「……たしかに」
「でもここでもよく皆に蹴られます。むしろ前よりも」
「そりゃ、そんなみすぼらしい恰好をしていれば、邪険にもされるだろう。覇権を握っていた魔王のころとは違う」
「そうなのですね! 流石勇者様」
そう言って魔王は心得たとばかりに両手を挙げた。片手に箒を握りつつ。
「学びました。『恰好がみすぼらしいと蹴られる』」