☆1
俺はアスカリ王国の公認勇者スワン。
壮絶なる戦いの末、魔王を倒して凱旋帰国した。
数年前に国は魔王討伐にあたって勇者という地位を用意し、何名かがそれに応じた。世界を、国を、故郷を守るため俺も名乗りを上げた。その複数いる勇者をリーダーとしていくつかのチームを作ったのだ。
中でも俺のチームは優秀な者が集まっており、精鋭チームと呼ばれていた。
そして俺の手で魔王の首を打ち取った。奇跡の勇者として、俺の生還は大いに喜ばれた。人類の勝利の象徴なのだとか。
早く休暇が欲しいのに、各地に住む有力者が凱旋記念パーティに招待してきて休む間もない。
民衆の大歓迎も最初はとてもうれしかったし気分も高揚したけれど、今となっては振る手が疲れるだけ。早く実家に帰りたい。
一年が過ぎた頃ようやく故郷の村へ帰れた。
村も勇者特需で豊かになったようだ。
家族や友人からの手紙で村の雰囲気がだいぶ変わったことを伝えられていた。
実家なんて、お手伝いも雇えるようになったらしい。
実家に帰ればようやく一息つける。
ここまで長かった。
そう思ったのに。
実家の庭で草むしりをしている人物を見て思わず叫んでしまった。
「なんで魔王おまえがここにいるんだよ!!」