家
「、、、、。」
買い物帰りに、紫苑は、見覚えのある背中を見つけた。
近づいてみると、やっぱりその見覚えのある背中は蓮花君だった。
蓮花君は、なにやら小さな紙を握りしめて、きょろきょろとあたりを見回し、行ったり来たりを繰り返していた。
どうしたんだろう。
「蓮花君。」
「ううぇえええ!!、、、、、、はい。なんでしょう、紫苑さん!」
「あの、、、、さっきからずっと蓮花君、この辺から動かないからどうしたのかなって。」
「その、実は道に迷ってしまって、、、」
「そうだったのね!紫苑、この辺に住んでるから、蓮花君の行きたいところわかるかも。どこに行くつもりだったの?」
蓮花君は少し迷ってから、紫苑に先ほど彼が握りしめていた、小さな紙きれを見せてきた。
紙切れには住所が書いてあった。
ふむふむ、どうやら蓮花君は、ここへ行きたいらしい。
んんっ!?ここは、、、
「ここ、紫苑の家がある、マンションと同じところだ、、、。」
「!?、、、、そうなんですか!」
蓮花君は驚いた声を上げた。
が、次の瞬間うれしそうに目を細めた。
そして、、、
「同じマンションだったのですね!これからどうぞよろしくお願いします。」
「? うん?」
「ちなみに紫苑さんは、何号室なのですか?」
「704号室だよ。」
「へえ。俺のは203号室だから、、、」
?なんかよくわからないけれど、蓮花君が嬉しそうでよかった。
そういえば、なぜ、彼はこのマンションへ行きたいのだろうか。
紫苑は、蓮花君と家のマンションに向かいながらそう思った。
このマンションに友達でもいるのかな?
「蓮花君は何でここに行きたいの?友達と遊ぶ約束でもしたの?」
「いえ、俺は、今日からここに住むことになりまして、、、」
「へ?」
え?
ちょっと待って、今なんて言った?
今日からここに住む?
ああ、蓮花君は転校してきたばっかだもんね。
うん。
すごい偶然。
、、、、、今日転校してきた転校生は、今日から私、紫苑と同じマンションに住むことになりました。