表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/327

第55話 手柄

【パレス 大広間】



「えっと……。とりあえず、ごめんなさいね」



ようやくパレスに戻って来たルノ、エリーナ、カリン、ジェイ。


彼等を出迎えたのは、何やら懇願するような表情のアイリ、ナエカ、レオナルドと、やたら上機嫌のヌヌレイだった。


近くのソファーでは、リンゴがベルと二人で優雅に紅茶を口にする。その後ろでヒラリスが冷や汗を流しながら、ペコペコと皆に頭を下げていた。


今までの経験から、何が起こったのかを察した先輩達は、気まずさから顔を引きつらせるしかない。



「私達が、ちゃんと説明しておかなかったから」



「団長、説明出来るんか? アレ」



「大変だったんすから!!」



「何が大変だったんだぁい?」



抗議するレオナルドに、ヌヌレイがニヤニヤしながら背後から近づく。


近づき方が恐ろしく、ナエカはヒイィと怖がり逃げてしまう。ほとんど半泣きだ。


リンゴの特訓が終わったかと思えば、ヌヌレイのあれやらこれやらに付き合わされたのだ。


怪しい検査、怪しい撮影、怪しい身体測定、その他もろもろ。


すぐ近くでリンゴとベルが見学しており、大いに気が散った。ある意味助かったが。



「怖かったよぉ……」



「しかしだぁ、君達随分と遅かったんだねぇ。何かあったのかぃ?」



ヌヌレイにそう言われ、ジェイが軽く崖での出来事を話す。



「…!!」



見えざる者の卵、の話になると一同驚愕の表情になった。


繁殖する見えざる者がいるとは。


一番驚いた様子を見せたのは、ヌヌレイだった。バッと飛び上がり、これ以上無い程目を見開く。



「──見えざる者の卵だってぇ!?」



「心配はいらんで? ちゃんと始末したんやから」



「うんうん、カリンたち頑張ったよ! ウフッ」



「そういう事じゃないよ!! ダメじゃないかぁ!!」



ヌヌレイは憤慨していた。顔が興奮と絶望と感謝で、よく分からない表情になっている。



「そんな大事な検体、なんで持って帰ってこなかったんだぁい!??」



アイリ達三人がポカーンとする中、先輩達は、揃って苦笑いを浮かべた。


ルノはため息をついて、ポケットから何やら取り出す。



「せっかくの卵なんだぁよ!? タマゴ!!」



「……言うと思った」



ルノが取り出し差し出したのは、あの卵の殻の破片だった。



「あ!!」



「それって」



皆が驚いてルノの元に集まる。初めて見る見えざる者の卵。美しくも変わった色に、皆が集まり興味津々だ。


殻だけよく見ると、一般的な卵に比べ妙に殻が分厚い。産まれてくる時、大変なのではないか。


──産まれなくてよかった。



「これが見えざる者の卵の殻なんすか?」



「本当にそんなのあったんだ……」



「見えざる者って、卵産むの?」



「すごぉい。ウフッ」



リンゴが近づき、そっと殻を手にした。光に透かすと、不気味な模様が輝きを増す。



「間違いないわん。サンの型、マルタ柄」



「ルノ、お前こんなんいつの間に」



「爆発の後、落ちてたの拾った」



散らばった卵の殻。ルノは爆発した地点の側まで行ってみたらしい。木っ端微塵になっていたが、殻だけが残っていた。



「ルノのファインプレーね」



「じゃなさあちま!!!」



歓声なのか悲鳴なのか。ヌヌレイはよく分からない擬音語を上げながら、リンゴから殻を受け取ると、周りの研究者達と大いに盛り上がりはじめる。


天井に向かって、高く突き上げられた拳。



「やったぞおお!!」



「おおおおお!!」



浮かれて殻を落としそうになり、それでまた大騒ぎ。まさに、お祭り騒ぎだ。



「変なの」



そんな様子に思わずアイリが呟いてしまい、ジェイは思わず吹き出した。


吊られて、皆も笑みを浮かべたのだ。


そんな中、レオナルドはそろそろとルノに近付く。



「ところで、ルノさん。ルノさんってヌヌレイさんのあれで、声一つ上げなかったって聞いたっすけど、ホントなんすか?」



先程、ヌヌレイから聞いた裏話。


ルノはその時を思い出したのか、サッと顔色を悪くした。



「あげなかった」



「へぇ、すげぇ」



「声は」



「……もしかして、ただの気絶っすか」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ