表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/327

第15話 使命

「──オロロが甦った?」



「はい」



アイリの言葉に、皆は困惑し目を見合わせた。



──オロロ、すなわち血の王。


その化け物は、1000年も前にこの世に生を受けたという。


とある魔術師が行った、恐ろしい呪術。失敗して生み出されたのは、最悪の魔物。


この世のものとは思えぬ体躯を持ち、万物を揺るがすという力でこの世を破滅させようとした。


そして、見えざる者を生み出しこの世に放った、全ての元凶。


剣の団が存在する理由でもあり、彼等の能力の原点でもある。



「長老の占いで、血の王が復活したとおしるしが出たと。星が重なったのです」



「オロロが、甦った……」



カリンが一人、ボソッとそう呟いてみる。だが、いざそう言われても、なかなか実感が湧かないものだ。


なにせ、1000年前にいた存在。剣の団に身を置いてはいても、その姿を目にしたことは無いのだ。想像がつかず、実感が湧かない。


そもそも、オロロとは何だ。


そんな怪物が甦ったら、何が起こるのか。まさかまた、この世界を滅ぼそうというのか。


一度は滅ぼそうとした、この世界を。



「本当……なのかな」



戸惑う周りの反応にめげず、アイリは口を開く。



「団に入り、真実をまことに見極め、未来を変えなさいと。長老様はそう仰いました」



少しの間、沈黙が場を貫いた。


──これが、アイリがここにやって来た理由。アイリの使命。



「で、でもさ」



その空気に耐えられなくなったのか、突然レオナルドが身を乗りだす。



「オロロって、すっごくデッカイんしょ? そんなのが甦ったら、とっくに誰かに気付かれてるんじゃ──」



「いや、それは分からへんで」



ぶった切るように告げるジェイの言葉に、皆がジェイの方を見た。



「オロロは元々、どっかの洞窟に隠れ住んどったんやで? この世のものとは思えない大きな身体っちゅうんは、あくまで昔の人がそう言うてただけや。洞窟がどんな大きさか知らんけど」



仮に、オロロが洞窟の中に収まる大きさだったとするなら。



「まだ、気付かれてへんだけの可能性はあるで」



それに、オロロが以前と同じ姿で復活したとは限らない。以前と同じように、この世のものとは思えない体躯とは限らない。


そう考えると、あり得ない話ではない。



「そう言われると確かに、最近見えざる者の活動が、活発的になっているような気もするさね」



「そんな」



マルガレータもジェイに同意し、その場がなんとも言えない空気になる。



「……まさか、オロロと戦うとか?」



とんでもない時に団に入ってしまった。ナエカはオロロの姿を想像し、身震いする。


1000年も前に、暴れていた怪物。一体、どうやって倒せば……。


強大な力を持つ、太陽の始祖様が六人がかりで、やっと倒したような存在なのに。


オロロから奪い取った力で、皆で力を合わせて。


そう、エイドリアンの力は全てオロロの物だったのだ。もしかすると、オロロは自分達の力を全て行使出来るかもしれない。


──そんな化け物を、どうやって……?


皆がそれぞれ動揺を見せている中で、唯一ルノだけは表情を変えず、ジッとアイリを見つめていた。



「まぁまぁ、そういうことだから」



この話を知っていたのは、アイリを除けばハーショウだけだ。皆を落ち着かせようとしたのだろう。ハーショウは宥めるように、皆に笑顔を振りまく。



「異能機関としても、この話を聞いて色々動いてるから。この件が本当かは分からないけど、全力でサポートすらから安心してくれ」



「え〜。期待しないでおこうっと」



「ええ!? ヒドイよカリン君!!」



分かりやすくショックを受けた顔をするハーショウに、周りも少しほぐれたような笑みを浮かべた。



だが笑顔を浮かべながらも、一同はどこか不安を隠せない様子だった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] オロロの復活……まだ皆半信半疑って感じだけど、もし本当だったら立ち向かえるのか……そりゃ不安だろうな。 伝説級の怪物ですもんね(;´・ω・)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ