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当たり前の非日常
本人たちにとっては、きっと当たり前の日常なのだろう。
おもしろおかしく楽しんで、悪いことをしているという意識もない。
やられている相手が、日常から当たり前を失っていたとしても。
みんなと同じように、何の不安もなく学校に行きたい。
みんなと同じように、余計な心配をせずに過ごしたい。
簡単で難しくないことが、複雑で厄介なことになってしまう。
学校行事に参加することも、音楽室に移動するだけのことも。
傷ついてばかりの日々は、どれだけ時が経っても悪夢を見せてくる。
目を覚ますたびに思い出す苦しみ、けっして消えることのない醜い烙印。
忘れることも癒えることもなく、
自分はそういう人間なんだと思い知らされる。
正直に過去を話すことはできなくて、ひとりでずっと抱えこむしかない。
みんなの楽しい日常は、誰かの犠牲がないと成り立たないものですか?