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Answer
こんなことを言ってくれているけど、きっと本当は――。
言葉の裏にあるものを想像して、自分で自分の心を傷つけていく。
うっすらなぞっただけの傷痕は消えても、
心の傷は深まっていくばかりで癒えはしない。
傷だらけの醜い心を見つめては、
自分の愚かさと弱さに吐き気をもよおしている。
これから先、どれだけ歩いたとしても、何も変えられはしないのだろう。
能天気なふりをしていても、その裏側には気持ちと言葉を隠している。
自分がそうだから、他人もそうだと思ってしまうのだろう。
もしも、ひと言だけでも伝えることができたなら。
少しぐらいは、この苦しみを理解してもらえるのだろうか。
その答えを、僕はもう知っている。