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怖がり
部屋の暗がりを、お化けだと思ってしまう。
そんな人のことを、僕は笑うことができない。
ちょっとした不安が、僕にとっては暗がりのお化けだから。
端っこに生まれた小さな染みが、あっという間に心を覆いつくす。
小さな不安は大きな恐怖へと変わり、僕にできるのは怯えることだけ。
どうしたら、こんな自分を変えることができるんだろう。
そんな悲しみもまた、すぐに化け物になってしまう。
僕の思考と行動を喰らいつくして、けっして満足してくれない。
何も残っていない、こんな僕なのに。