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手のひら
ひとりぼっちは寂しくて、誰かのぬくもりが欲しくなる。
抱きしめあうとか、そんな贅沢は言わない。
ただ、手をつないでくれるだけでいい。
それだけでも、孤独の冷たさよりはマシなはずだから。
手のひら分のぬくもりがあるだけでも、きっと何かが違うはず。
だけど、たったそれだけのことが僕には叶わない夢。
隣にいてくれる誰かはいなくて、手をつないでくれる誰かもいない。
凍えている人間の冷たい手に、誰もふれたいとは思わない。
心を切るような寒さに震えながら、今日もひとり眠りにつく。