37/72
ガラスと鏡
ガラスの向こうの相手でも、見続けていれば鏡になってしまう。
いつしか自分を見失い、自分が誰だったのかわからなくなる。
手遅れになる前に立ち去って、穢れひとつない水面を探しにいこう。
本当の自分を映して、しっかりと目に焼きつけるために。
在るべき自分を正しく理解できたなら、
鏡とすべき相手を探せるようになる。
自分を見失いそうなとき、どんな姿だったか思い出させてくれる人を。
でも、気がついたときには逆戻りしてしまっている。
真実を映し出さないのは、穢れている鏡のほうだから。




