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サンドバッグ
とある新聞記事で読んだことがある。
親は子にとって、衝撃をやわらげてくれるクッションだと。
外からの衝撃を吸収して、壊れやすい子供の心を守ってくれるらしい。
だけど残念なことに、そのクッションは僕の人生にはなかった。
すべての衝撃をひとりで受け止めて、ひたすら我慢するしかない。
親からのものも含めて、ひび割れるように壊れながら死を考えながら。
それでもきっと、衣食住の安定があるだけマシなのだろう。
この世で一番不幸な人間だなんて思えるほど、僕は幸せじゃない。