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閉じた窓
窓の向こうの世界は、見渡すかぎりの曇り空。
どんよりと黒く濁っていて、晴れ間はどこにもない。
時折、光が射しこんできても、眺めているうちに消えてしまう。
心安らぐようなぬくもりは、いつ僕のところまで運ばれてくるのだろう。
だけど本当は、そこにある真実をわかっている。
僕の瞳にはもう何も映らなくて、
僕の皮膚はもう何も感じることができない。
閉ざされた部屋の中、足場もないほどに散らばった心の欠片。
少しでも動こうとするだけで、さらに細かく踏み砕かれていく。
何もかもが手遅れで、失ったものはもう戻らない。
その先にある救いに、いったい何の意味があるのだろう。