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最後の拠り所
心を身体から切り離せたら、どれほど楽になれるだろう。
孤独や不安を感じなくてすむし、苦しみや悲しみとも無縁になれる。
余計なことを考える必要がなくなるだけでも、きっと人生が変わるはず。
子供のころ、どうして僕は他の子と違うのだろうと悩むことがあった。
大人に褒められなくてもいいから、普通の男の子のように生きたかった。
もしも心を切り離すことができたなら、どんなに楽だっただろう。
心なんてものは所詮、ただの感覚器官にすぎないのに。
でも、人間にとって大事な器官であることには変わりない。
心がなかったら痛みを知ることができないし、
優しさにふれることもできない。
そして、それらを失いたくないと僕は思っている。
最期のときくらいは、自分らしくいたいから。