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いつもそこには
代わり映えのない今日が、明日もやってくるとはかぎらない。
ひとつの違いだけで、すべてが変わってしまうこともある。
当たり前なんてものは存在しないのに、どうして忘れてしまうのだろう。
僕たちの日常は、とても簡単に壊れてしまうのに。
それはきっと、僕たちに備わった防衛本能なのだろう。
僕たちが立っているのは、大地ではなく薄氷の上。
そのことを認識しながら生きるには、僕たちの心はもろすぎる。
だから、足元の氷がひび割れてからでないと気がつけない。
不安も怖れもなく歩けていたことが、どれほど幸せだったのかを。